著者
周東 寛 野口 久 西片 光 滝沢 健司 周東 千鶴 永田 眞 寺師 義典 山口 道也 滝沢 敬夫 渡辺 建介 登坂 薫 岡野 昌彦 小泉 昭
出版者
一般社団法人 日本アレルギー学会
雑誌
アレルギー (ISSN:00214884)
巻号頁・発行日
vol.56, no.7, pp.714-720, 2007
被引用文献数
1

吸入ステロイドの副作用の一つとして,口腔・食道カンジダ症の報告がある.点鼻ステロイド長期投与により出現した「嚥下による口腔・食道通過時に不快感」の症状を呈した症例に口腔・食道カンジダ症を発見した.そして点鼻ステロイドを中止したことにより著明に改善した症例を経験したので報告する.症例は69歳女性.嚥下時上胸部に通過障害の違和感を主訴にて来院した.数年前より通年性アレルギー性鼻炎と診断され, 2年前より点鼻用BDPを毎日睡眠前に点鼻していたことを内視鏡検査後の問診でわかった.患者は睡眠中の鼻閉鼻汁の強い症状が, BDP点鼻により改善することで,使用し続けていた.経過:上部消化管内視鏡検査により下咽頭炎及び食道カンジダ症「吸入ステロイドによる食道カンジダ症の分類」のhigh grade(Grade III)を認めた.治療対策として,点鼻BDPを中止し抗真菌剤は使用せずに,毎日うがい・鼻洗を実施, 2週間後に主訴が改善, 1ヵ月半後の内視鏡再検査にてmild grade(Grade I)に改善していた.睡眠前の吸入ステロイド使用と同様に,睡眠前の点鼻も経鼻腔的に食道にステロイドが嚥下され滞留し, 1年以上長期に点鼻ステロイドを使用した結果,食道カンジダ症が発症したと思われた.
著者
有馬 雅史 湯川 瀧雄 寺師 義典 相良 博典 牧野 荘平
出版者
一般社団法人 日本アレルギー学会
雑誌
アレルギー
巻号頁・発行日
vol.40, no.2, pp.141-146, 1991
被引用文献数
2

我々は, すでに卵白アルブミン (OA) 反復吸入能動感作モルモットで抗原曝露後, 50%以上の動物に遅発型発作 (LAR) の出現と, さらに24時間から5日後に気道反応性の亢進が認められることを報告している. 今回, 血小板活性化因子 (PAF) の関与を検討する目的で, 特異的 PAF 桔抗薬である WEB2086 の影響をこれらのモデルを用いて検討した. OAの反復吸入曝露によって感作したモルモットの呼吸低抗は, oscillation 法によって行い, 気道過敏性は, histamine の aerozol 吸入にて呼吸抵抗が baseline の200%に増加する濃度 (PC_<200>Hist.) を以って評価した. OA 10mg/ml を5分間, 感作モルモットに吸入曝露し, 曝露の30分前および3時間後に投与した WEB2086 (3mg/kg×2, i.v.)は, 曝露24時間と5日後における気道過敏性の亢進を有意に抑制した. また, diphenhydramine hydrochloride (60mg/kg, i.p.) を15分前に処置した感作モルモットに OA の20mg/ml を10分間吸入曝露させた場合の即時型の呼吸抵抗の亢進 (IAR) およびその後の LAR において, 曝露30分前および3時間後の WEB2086 (3mg/kg×2, i.v.) の投与は, IAR には影響を及ぼさなかったが, LAR の出現を明らかに抑制した. 以上より気管支喘息患者の LAR 及び気道過敏性の亢進の発現には, PAF の関与が示唆された.