著者
岡野 八代 野口 久美子 合場 敬子 影山 葉子 内藤 葉子 石井 香江 牟田 和恵
出版者
同志社大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2014-04-01

本研究の成果は、歴史的に、ほとんどの社会で女性たちが担ってきたケア実践、すなわち、育児や家事、介護や看護の経験から、女性の身体性がいかに社会的に構築されてきたかを分析し、身体をめぐる脆弱性の社会的意味や女性たちの意思決定のあり方に新しい光を当てた。本研究を通じて発表された論文・著書は、これまで社会的に過小評価されるか、社会的弱者へと押しつけられがちなケア実践を再評価するために、思想的、歴史的、そして実践現場のなかで、ケア実践の意味を新たに問い返した。
著者
野口 久美子
出版者
日本図書館情報学会
雑誌
日本図書館情報学会誌 (ISSN:13448668)
巻号頁・発行日
vol.54, no.3, pp.163-187, 2008-09-30

近年,子どもの読書活動が活発に行われている。なかでも学校教育は大きな役割を果たしている。これまでも,学校教育では読書指導が行われてきた。したがって,今後の読書指導のあり方は,これまでの読書指導の展開過程を踏まえて考えることが重要である。本稿では,戦後の読書指導を主導した滑川道夫の読書指導論について検討を行い,その特徴を明らかにし,滑川読書指導論の意義と限界を考察した。その結果,(1)滑川読書指導論には「読書に関する生活指導」と「読書による生活指導」の2つの観点があること,(2)読書指導では「読書に関する生活指導」に加え,「読書による生活指導」を重視するべきであるという考えを段階的に明確に示したことが明らかになった。滑川読書指導論の意義としては,子どもの情操や知力を育てる読書指導が重要であることを提起したこと,限界としては,読書指導のあり方を示すにとどまったことを挙げることができる。
著者
志田 泰世 野口 久美子 金子 潤子 金沢 宏 吉川 博子
出版者
Japanese Society of Environmental Infections
雑誌
環境感染 (ISSN:09183337)
巻号頁・発行日
vol.20, no.3, pp.184-187, 2005
被引用文献数
2

平成15年12月30日, 新潟市民病院の神経内科と整形外科の混合病棟の入院患者47名中13名に下痢, 嘔吐の症状が出現した. 準夜勤務者 (3名) にも同様の症状が認められた. 病棟発生調査とおよび脱水症状の患者への治療が開始された. 出勤していないスタッフにも同様の症状が多いことがわかった. 緊急対策会議を開催し, 患者隔離・スタンダードプリコーションの徹底及び厳重な接触感染予防策が実施された. 胃腸炎の原因はノロウイルスであることが判明した. 1月8日には有症状患者は0となり, 10日患者の隔離解除・平常業務体制となった. ノロウイルス感染の症状は, 嘔吐69%, 下痢66%といわれ, 成人では下痢, 小児では嘔吐が多いとされている. そのため, ノロウイルスの主要感染ルートは, 糞口感染で, 高齢者ではおむつ交換時, 汚染された水や貝 (二枚貝) で, 時に飛沫による感染が推定されることから, 注意が必要である.
著者
周東 寛 野口 久 西片 光 滝沢 健司 周東 千鶴 永田 眞 寺師 義典 山口 道也 滝沢 敬夫 渡辺 建介 登坂 薫 岡野 昌彦 小泉 昭
出版者
一般社団法人 日本アレルギー学会
雑誌
アレルギー (ISSN:00214884)
巻号頁・発行日
vol.56, no.7, pp.714-720, 2007
被引用文献数
1

吸入ステロイドの副作用の一つとして,口腔・食道カンジダ症の報告がある.点鼻ステロイド長期投与により出現した「嚥下による口腔・食道通過時に不快感」の症状を呈した症例に口腔・食道カンジダ症を発見した.そして点鼻ステロイドを中止したことにより著明に改善した症例を経験したので報告する.症例は69歳女性.嚥下時上胸部に通過障害の違和感を主訴にて来院した.数年前より通年性アレルギー性鼻炎と診断され, 2年前より点鼻用BDPを毎日睡眠前に点鼻していたことを内視鏡検査後の問診でわかった.患者は睡眠中の鼻閉鼻汁の強い症状が, BDP点鼻により改善することで,使用し続けていた.経過:上部消化管内視鏡検査により下咽頭炎及び食道カンジダ症「吸入ステロイドによる食道カンジダ症の分類」のhigh grade(Grade III)を認めた.治療対策として,点鼻BDPを中止し抗真菌剤は使用せずに,毎日うがい・鼻洗を実施, 2週間後に主訴が改善, 1ヵ月半後の内視鏡再検査にてmild grade(Grade I)に改善していた.睡眠前の吸入ステロイド使用と同様に,睡眠前の点鼻も経鼻腔的に食道にステロイドが嚥下され滞留し, 1年以上長期に点鼻ステロイドを使用した結果,食道カンジダ症が発症したと思われた.
著者
野口 久美子
出版者
三田図書館・情報学会
雑誌
Library and information science (ISSN:03734447)
巻号頁・発行日
no.62, pp.111-143, 2009

原著論文【目的】本稿の目的は,資料をもとに,これまでの読書指導の実践の推移を明らかにすることである。具体的には,小学校・中学校の教職員の読書指導に関する考え方や実践内容の特徴を分析し,その内容にどのような変化があったかを考察する。【方法】全国学校図書館研究大会は50 年以上の歴史があり,全国から約2,000 ~ 3,000 人が集まる。参加者は,読書指導のベテランから経験の浅い初任者まで,さまざまである。本稿では,全国学校図書館研究大会の参加者による実践報告や議論をまとめた記事を分析の対象とし,彼らが読書指導についてどのように考え,実践してきたかを整理した。【成果】資料をもとにした分析の結果,次のことが明らかになった。読書指導は「みんなで読む」ことと「読書で得た内容や感想を深める」ことから始まった。読書内容の質も追求された。しかし,その方法については賛否両論があった。読書指導のための時間を確保することが難しいという声も多く挙がった。そうした中,各地の実践の積み重ねを経て,「短い時間で実施可能な一斉読書活動」と「読書そのものを楽しむ取り組み」が提案,実践された。大会の参加者が実践してきた読書指導に全体としてどのような変化があったかについては,次の3 点を指摘した。①読書指導の実施は困難であったが,1980 年代の「ゆとりの時間」の活用,1990 年代後半以降の「朝の読書」運動の広まりを通じて,10~20分というわずかな時間を利用すれば,読書指導あるいは読書推進活動を行うことができることが認知されるようになったこと,②従来の読書指導では,読後の活動に重点が置かれたが,1980年代頃を境に「読書の楽しさに触れる」こと,「読書そのものと向き合う」ことが見直されたこと,③全員で同じ本を読むこと,事実上読む本を強要することには賛否両論があり,自由読書が重視されるようになったこと。
著者
志田 泰世 野口 久美子 金子 潤子 金沢 宏 吉川 博子
出版者
Japanese Society of Environmental Infections
雑誌
環境感染 (ISSN:09183337)
巻号頁・発行日
vol.20, no.3, pp.184-187, 2005-09-30 (Released:2010-07-21)
参考文献数
7
被引用文献数
5

平成15年12月30日, 新潟市民病院の神経内科と整形外科の混合病棟の入院患者47名中13名に下痢, 嘔吐の症状が出現した. 準夜勤務者 (3名) にも同様の症状が認められた. 病棟発生調査とおよび脱水症状の患者への治療が開始された. 出勤していないスタッフにも同様の症状が多いことがわかった. 緊急対策会議を開催し, 患者隔離・スタンダードプリコーションの徹底及び厳重な接触感染予防策が実施された. 胃腸炎の原因はノロウイルスであることが判明した. 1月8日には有症状患者は0となり, 10日患者の隔離解除・平常業務体制となった. ノロウイルス感染の症状は, 嘔吐69%, 下痢66%といわれ, 成人では下痢, 小児では嘔吐が多いとされている. そのため, ノロウイルスの主要感染ルートは, 糞口感染で, 高齢者ではおむつ交換時, 汚染された水や貝 (二枚貝) で, 時に飛沫による感染が推定されることから, 注意が必要である.
著者
野口 久美子
出版者
同志社大学
雑誌
研究活動スタート支援
巻号頁・発行日
2011

本研究では、2カ年にわたる現地調査と文献調査の結果、19世紀末から20世紀初頭のトュール・リヴァー保留地において、複数部族からなる先住民部族集団が単一の政治形態を形成する過程と、それに伴う部族内経済格差の構築過程について歴史的分析を加えた。結果として、現代の部族社会と経済発展の基礎となる再組織法型部族政府(トュール・リヴァー部族政府)が、いかにして構築されたのか、その歴史的背景が明らかになった。