著者
大草 敏史 小井戸 薫雄
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.104, no.1, pp.42-47, 2015-01-10 (Released:2016-01-10)
参考文献数
18

fecal microbiota transplantation(FMT)は中国や欧米で昔から行われていた.最近になり,腸内細菌叢のDNA解析によって腸内細菌叢の乱れ,すなわちdysbiosisが消化器疾患をはじめ,種々の疾患に関与しているということがわかってきた.そのdysbiosisを是正する目的で,FMTがClostridium difficile感染症をはじめとして,炎症性腸疾患(inflammatory bowel disease:IBD),過敏性腸症候群(irritable bowel syndrome:IBS),慢性便秘,肥満などのメタボリック症候群に施行されてきている.
著者
伊藤 善翔 小井戸 薫雄 大草 敏史
出版者
公益財団法人 腸内細菌学会
雑誌
腸内細菌学雑誌 (ISSN:13430882)
巻号頁・発行日
vol.35, no.1, pp.13-18, 2021 (Released:2021-02-03)
参考文献数
25

膵疾患は急性膵炎といったcommon diseaseから自己免疫性膵炎や癌まで様々である.そのなかで,膵臓癌は我が国においてだけでなく,全世界的に未だ予後不良の疾患であり,その対応には急務が求められている.近年,様々な消化器癌において腸内細菌(Gut microbiota)の関与が報告されているが,膵疾患領域においても細菌叢の解析が蓄積されてきている.膵疾患においても良悪性疾患を問わず細菌が疾患に関係することが示唆されてきており,細菌叢から疾患を考察することは,未だ解明されていない癌化プロセス等の解明に繋がると考える.
著者
伊藤 正紀 本間 定 小井戸 薫雄 芝 清隆
出版者
東京慈恵会医科大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2014-04-01

細胞性免疫ワクチンには、アジュバントが必須であるが、副作用が指摘されている。アジュバントフリーワクチンを作成するため、これまでに抗原提示細胞への抗原取込能力(物理アジュバント機能)を包含した抗原を作成してきた。本研究では、物理アジュバント機能に加えて、抗原提示細胞を成熟化させる信号アジュバント機能を抗原自身に付与した。試験管内の実験では、抗原提示細胞の成熟化機能が発揮されたが、動物実験では信号アジュバント付与による物理アジュバント機能の低下が影響し、細胞性免疫の誘導が得られなかった。アジュバントフリーワクチンを作成するためにはアジュバント機能を最適化して抗原に導入する必要が明らかとなった。