著者
野原 誠太郎 石井 亜紀子 上田 篤志 関 昇子 小國 英一 木野 弘善 石川 栄一 玉岡 晃
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.106, no.4, pp.820-827, 2017-04-10 (Released:2018-04-10)
参考文献数
9

Alzheimer型認知症で加療されていた67歳,女性.痙攣,意識障害で入院し,頭部単純MRI上,大脳白質に広汎なT2WI高信号域および大脳皮質に多数の微小出血を認めた.脳生検にて,大脳皮質内の血管壁にアミロイドβ蛋白(Aβ)の沈着があり,脳アミロイドアンギオパチー関連炎症(cerebral amyloid angiopathy-related inflammation:CAA-I)と診断した.ステロイド加療により検査所見や臨床症状は改善した.本症はステロイドなどによる免疫療法が有効であり,治療可能な認知症の鑑別疾患として重要である.
著者
小國 英一 永田 博司
出版者
茨城県立医療大学
雑誌
茨城県立医療大学紀要 (ISSN:13420038)
巻号頁・発行日
vol.4, pp.79-83, 1999-03

Machado-Joseph病に認められた特異な顔貌について生理学的解析を行った。これは, 片側閉眼と対側の前頭筋が収縮し, これまでの文献では不随意運動の一種と推測されている。症例は58歳男性で, 30年前に失調性歩行で発症し, 10年前に診断が確定した。神経学的には, 両側眼瞼下垂, 両眼性復視, 眼球運動障害, 構音・嚥下障害, 運動失調, 寡動, 筋萎縮, 筋力低下, 神経因性膀胱を認めた。解析には瞬目反射(BR), ビデオカメラによる運動記録(KR), 両側眼輪筋・前頭筋からの表面筋電図(sEMG)を用いた。 BRでは検出し得る異常はなく, KRでは顔面筋の随意性は保たれており, sEMGではこの顔貌と随意的片側閉眼の筋活動パターンが一致していた。これらの結果から, この顔貌は不随意運動ではなく, 眼瞼下垂と復視の随意的代償と考えられた。随意的代償運動が不随意運動に類似する例は他でも知られており, 障害評価の際には神経生理学的手法を用いた客観データを収集し解析する事が重要である。