著者
石川 栄一 及川 武夫 萩原 俊男
出版者
公益社団法人 日本化学会
雑誌
工業化学雑誌 (ISSN:00232734)
巻号頁・発行日
vol.62, no.5, pp.673-676, 1959-05-02 (Released:2011-09-02)
参考文献数
6

アルミニウム電解浴に使用する氷晶石は熱分解を受け難いものであると共に,不純分の少ないものが要求される。天然氷晶石は熱分解が少なく不純分の少ない点で好まれている。しかし合成方法も種々研究され良品がえられるようになった。合成氷晶石の不純分のうちケイ素分がとくに問題になるが,ケイ素分の少ない氷晶石を合成するための方法は種々の特許として提案されている。しかしその形態についての詳細な研究は見当らない。著者らはケイ素分の少ない氷晶石を合成するために,まず酸性フッ化アルミニウム法によって合成した氷晶石中に,ケイ素分がどんな化合物として存在するか,どういう混入経過をとるかを化学分析,X線回折によって追求した。その結果,酸性フッ化アルミニウム法によって合成した氷晶石中のケイ素化合物は,ケイフッ化ナトリウム,および非晶質ケイ酸であることを確かめた。また,酸性フッ化アルミニウム溶液に,必要量の60%以上アルカリを添加したときにケイ素分が急増すること,また,非晶質ケイ酸はケイフッ化ナトリウムがアルカリによって解離されて生成することを明らかにした。
著者
津田 恭治 野口 昭三 石川 栄一 中居 康展 阿久津 博義 松村 明
出版者
一般社団法人 日本脳卒中学会
雑誌
脳卒中 (ISSN:09120726)
巻号頁・発行日
vol.32, no.3, pp.268-274, 2010-05-25 (Released:2010-07-09)
参考文献数
11
被引用文献数
2 2

高齢人口割合の高い地域にある脳神経外科救急対応病院における,高齢者脳卒中診療の現状をまとめ,高齢者脳卒中患者の予後とその予測因子を検討する.脳神経外科に脳卒中の診断で入院した超高齢(80歳以上)脳卒中患者97名を対象とした.対象患者データのうち,年齢,性別,退院時modified Rankin Scale(mRS),退院時経鼻管または経胃ろう栄養,入院中肺炎などの評価項目と生命予後との関連をCox hazard modelあるいはlogrank testを用いて解析した.超高齢脳卒中患者97名の1年生存率は約75%であり,85歳未満および,mRS0–3群において有意に生存率が高いことが示された.また,生存退院例についての解析では,退院時のmRS3–5,入院中肺炎,胃ろう造設/退院時経管栄養が退院後の死亡に関する予測因子であり,入院中肺炎罹患が,統計学的に有意差をもった退院後の死亡に関する独立した予後予測因子であった.超高齢者脳卒中患者において,年齢や退院時mRSの他に,入院中の肺炎発症の有無が予測因子になる可能性が示唆された.我々は,超高齢者脳卒中患者の治療やケアを計画する際にこれらの因子を熟慮する必要がある.
著者
野原 誠太郎 石井 亜紀子 上田 篤志 関 昇子 小國 英一 木野 弘善 石川 栄一 玉岡 晃
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.106, no.4, pp.820-827, 2017-04-10 (Released:2018-04-10)
参考文献数
9

Alzheimer型認知症で加療されていた67歳,女性.痙攣,意識障害で入院し,頭部単純MRI上,大脳白質に広汎なT2WI高信号域および大脳皮質に多数の微小出血を認めた.脳生検にて,大脳皮質内の血管壁にアミロイドβ蛋白(Aβ)の沈着があり,脳アミロイドアンギオパチー関連炎症(cerebral amyloid angiopathy-related inflammation:CAA-I)と診断した.ステロイド加療により検査所見や臨床症状は改善した.本症はステロイドなどによる免疫療法が有効であり,治療可能な認知症の鑑別疾患として重要である.