著者
大貫 英一 朝山 真哉 朝山 知子 中道 一生 西條 政幸 小坂 理
出版者
日本神経学会
雑誌
臨床神経学 (ISSN:0009918X)
巻号頁・発行日
vol.56, no.10, pp.705-708, 2016 (Released:2016-10-28)
参考文献数
10
被引用文献数
2 3

症例は83歳男性,慢性腎不全のため血液透析中であった.亜急性に進行する右片麻痺のため紹介入院した.頭部MRIではT2強調画像で両側中小脳脚と左前頭葉深部白質に高信号病変を認めた.病変は経時的に拡大し,1H-MRSではChoの上昇とNAAの低下を認め,脳生検ではglioblastomaが疑われた.しかし髄液JCウイルス(JCV)検査が陽性と判明し,脳生検組織を再検したところ,免疫染色でJCVに感染した異型アストロサイトを認め,進行性多巣性白質脳症(progressive multifocal leukoencephalopathy; PML)と診断した.メフロキン,ミルタザピンによる治療を開始したところ,髄液JCVの陰性化を認め,またMRIでの病変の拡大も停止した.基礎疾患,臨床経過において稀少と考え報告した.
著者
金 明博 納田 真也 山田 将雄 小坂 理也 阿部 宗昭
出版者
医学書院
雑誌
臨床整形外科 (ISSN:05570433)
巻号頁・発行日
vol.35, no.11, pp.1289-1293, 2000-10-25

抄録:Klippel-Feil症候群に伴う頭蓋底陥入に対し、後方除圧とinstrumentによる整復固定術を行い良好な結果を得たので報告する.症例は14歳,男子.外傷などの誘因なく頚部から両肩にかけての疼痛と上肢の筋力低下にて発症した.来院時には上肢の挙上困難とふらつき歩行を呈していた.単純X線では頚椎の癒合椎と高度の頭蓋底陥入を,MRIでは大後頭孔内に陥入した歯突起と環軸椎亜脱臼に伴う環椎後弓による脊髄圧迫像を認めた.Halo-vestを装着し整復を試みたが困難であった.手術は後頭下減圧・環椎後弓切除および後頭骨頚椎間整復固定術(CO-C3)を施行した.術中,instrument (CCD―Cervical)のrodを利用した整復操作を加え,wake-up testにて新たな麻痺が生じていないことを確認した後,骨移植し手術を終了した.術後13カ月の現在,疼痛は消失し上肢の挙上,ランニングとも可能となっている,本法は術前に整復不可能な頭蓋頚椎移行部病変に対し有効な一手術方法と考える.