著者
坂井 志緒乃 伊藤 孝 上栗 伸一 本山 功 小室 光世
出版者
一般社団法人 日本地質学会
雑誌
地質学雑誌 (ISSN:00167630)
巻号頁・発行日
vol.125, no.4, pp.297-305, 2019-04-15 (Released:2019-08-08)
参考文献数
38
被引用文献数
1

本研究では,青森県深浦台地の北一鉱床に認められる層状マンガン鉱床の地質年代を解明することを目的に放散虫化石層序の検討を行った.その結果,層厚50cmの酸化マンガン層およびその下位の凝灰質砂岩層はE. inflatum帯の上部に相当すると考えられる(中期中新世後期:12.9~11.8Ma).一方,酸化マンガン層の上位の凝灰質砂岩はL. pylomaticus帯からH. parviakitaense帯(鮮新世:5.4~2.7Ma)に形成された地層であると推測される.酸化マンガン層とその上位の凝灰質砂岩の間には,約700万年間の無堆積があったと考えられる.従来,北一鉱床の酸化マンガン層および凝灰質砂岩は下部中新統上部の田野沢層に対比されてきた.しかし本研究の結果は,年代的に周辺地域に分布する大童子層,赤石層,および舞戸層相当であることを示している.
著者
林 謙一郎 小室 光世 黒澤 正紀
出版者
筑波大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2009

高温熱水系において重金属が気相として運搬され、濃集・沈殿して鉱床が形成される過程を明らかにするために、重金属の気液分配を室内実験で行なった。銅などの揮発性金属元素は硫黄が存在すると選択的に気相に分配することが明らかとなった。各種熱水鉱床に産する鉱石鉱物、脈石鉱物の酸素、水素、および硫黄同位体比から鉱床形成に関与した熱水溶液の起源を明らかとした。斑岩型鉱床ではマグマ水が、造山帯型鉱床では変成水が、浅熱水性鉱床ではマグマ水と天水の両者が関与していたことが示された。