- 著者
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秦野 直
小山 雄三
早川 正道
小川 由英
大澤 炯
- 出版者
- 社団法人日本泌尿器科学会
- 雑誌
- 日本泌尿器科學會雜誌 (ISSN:00215287)
- 巻号頁・発行日
- vol.88, no.6, pp.624-631, 1997-06-20
- 被引用文献数
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(目的)嚢胞性腎疾患に合併した腎癌の予後を検討した。(対象と方法)1994年,嚢胞性腎疾患に合併した腎癌の予後に関する全国調査をおこない,集計された216名を対象とし統計学的検討をおこなった。(結果)嚢胞性腎疾患の内訳は,単純性腎嚢胞69名,多嚢胞化萎縮腎61名,嚢胞状腎癌54名,多房性腎嚢胞19名,嚢胞腎3名,その他9名,不明1名であった。全体の五年生存率は84%ときわめて良好であった。性別および年齢別の予後に有意差は認めなかった。腎癌に起因する症状のないもの(65%)は症状のあるもの(35%)に比して有意に予後が良好であった。嚢胞の種類別では,ACDKの予後が最も不良で,嚢泡状腎癌が最も良好であり2群間に有意差を認めたが(Log-Rank検定),その他の嚢胞間に有意差はなかった。TNM分類では,pTI+2が全体の87%をしめ,一般の腎癌の報告に比べ多かった。このため今回の集計で予後が良好であったと考えられる。また嚢胞穿刺液の細胞診陽性群では陰性群に比し,有意に予後が不良であった。しかしながら嚢胞穿刺群と非穿刺群との予後に差はなかった。(結論)嚢胞性腎疾患に合併した腎癌では,一般の腎癌の統計に比較し予後は良好であった。嚢胞穿刺が播種をひきおこし,予後を悪化させる可能性を示唆するデータはなかった。