著者
小崎 智照 松澤 七海 百岳 香奈
出版者
一般社団法人 日本人間工学会
雑誌
人間工学 (ISSN:05494974)
巻号頁・発行日
vol.58, no.2, pp.76-83, 2022-04-15 (Released:2022-07-12)
参考文献数
36

本研究は高濃度の二酸化炭素が心理・生理機能へ与える影響について調べた.本研究の被験者は11名の健常な21才から23才の成人女性であった.被験者は実験室にて異なる二酸化炭素濃度条件(大気濃度,2000 ppm,4000 ppm)に45分間曝露された.各心理・生理指標は二酸化炭素曝露の前後にて記録された.計算課題の正解数は二酸化炭素濃度2000 ppmと4000 ppm条件において曝露後で有意に減少した.事象関連電位P300の潜時も2000 ppmと4000 ppm条件曝露後に有意に遅延した.眠気感も高濃度の二酸化炭素曝露後に有意に低下した.以上の結果から,室内における2000 ppm以上の高濃度の二酸化炭素は覚醒と精神作業能を低下させることが示唆された.
著者
堤 有子 小崎 智照 安河内 朗
出版者
日本生理人類学会
雑誌
日本生理人類学会誌 (ISSN:13423215)
巻号頁・発行日
vol.9, no.4, pp.131-142, 2004-11-25 (Released:2017-07-28)
参考文献数
16

成人女性の多くは生理的変化や精神状態の変化を伴う性周期を有しており、近年この性周期に関連したタスクパフォーマンスの変動について注目されている。また今日、女性の社会での活躍は著しく、その職域も拡大していることから、女性の働く意欲と能力を存分に発揮できるような社会システムが要求されている。このような社会背景においても性周期に関連したタスクパフォーマンスの変動について明確にすることは重要なことのひとつと考えられる。性周期に関連したタスクパフォーマンスの変動についての先行研究は、特に身体的不快感や気分の変化といった愁訴の性周期変動もしくは性ステロイドホルモンの性周期変動に関連したタスクパフォーマンスの変動に注目した研究が行われている。性周期に伴う愁訴は月経随伴症状ともいい、一般的に月経前期に「憂鬱」や「いらいらする」などの精神症状や乳房痛などの乳房症状が出現する「月経前症状」と月経中に下腹痛や腰痛の出現する「月経時症状」がある。