- 著者
-
小川 翔大
- 出版者
- 一般社団法人 日本教育心理学会
- 雑誌
- 教育心理学研究 (ISSN:00215015)
- 巻号頁・発行日
- vol.59, no.3, pp.267-277, 2011 (Released:2012-03-27)
- 参考文献数
- 25
- 被引用文献数
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4
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本研究の目的は, ネガティブな出来事の原因への帰属の違い, 及び同情した人との親密さの違いが同情された時のポジティブ感情やネガティブ感情の生起に及ぼす影響を明らかにすることである。大学生304名を対象に, 病気, 学業の失敗, 対人トラブルに対して同情される話を読んでもらい, 同情された時の様々な感情について評定を求めた。その結果, すべての場面で, ネガティブな出来事の原因を運や他者からの妨害に帰属した人よりも自分自身の能力に帰属した人の方が落ち込み感情が高くなった。また, すべての場面で, 同情した人があまり知らない人の場合よりも親しい人の場合の方が, 喜び感情は高く反発感情は低くなった。以上より, 落ち込み感情はネガティブな出来事の原因帰属によって異なり, 喜び感情と反発感情は相手との親密さによって異なることが明らかになった。