著者
小川 賀代 小村 道昭 梶田 将司 小舘 香椎子
出版者
日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会論文誌 (ISSN:13498290)
巻号頁・発行日
vol.31, no.1, pp.51-59, 2007
被引用文献数
10

理系人材不足の背景をふまえて,今まで以上に「実践力」を有した人材を輩出することが急務であり,このための人材育成システムの再構築が求められている.本論文では,日本女子大学が長年にわたり蓄積してきた人的資源である卒業生の情報を活用したロールモデル型eポートフォリオ(RMP)を提案し,その構築を行った.本手法は,ポートフォリオの評価指標設定に社会で活躍する卒業生の学生時の成績を利用するため,評価指標の決定のための組織だった議論の必要がなく,導入が容易である.また,業種・職種別のロールモデルと現在の自分の実践力を比較することができ,自分の現在の能力,またどの能力が基準に達していないかなどを視覚的にとらえられる.よって,自分の目指す職業に要求される実践力の強化を効率よく行うことができる.蓄積情報は,就職時の自己PRに活用したり,教員による実践力育成支援に役立てることができる.システム構築は,eポートフォリオはオープンソースを活用し,これにRMP解析部分を独自拡張した.
著者
柳 綾香 小川 賀代
出版者
日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会論文誌 (ISSN:13498290)
巻号頁・発行日
vol.35, no.3, pp.237-245, 2011
被引用文献数
1

近年の経済減速に伴う就職状況の悪化や,若年層の離職率増加の問題に対し,就職時のミスマッチの解消が課題とされている.このミスマッチの解消の一つとして,メタ認知や振り返りを通して真正な自己分析を行い,適性を把握することがあげられる.我々がこれまで提案・開発してきたロールモデル(卒業生)との能力値を比較・分析できるRMPシステムにおいて未活用であった文書データ(自己アピール文,エントリーシート)には,主観的意見が含まれており,数値では測れない情報が含まれている.これらの文書情報を活用した適性職種診断,企業マッチング診断機能は,新しい知見を示すことができるため,振り返りの材料となり,ポートフォリオサイクルを活性化することができる.そこで,本研究では,ロールモデルの文書データを解析し,適性職種診断と企業マッチング診断機能の開発と評価を行った.また,これらの機能をRMPシステムへ実装し,自己分析の自律的活動を促すキャリア支援システムの構築を行った.
著者
野間 慶子 小川 賀代
雑誌
研究報告教育学習支援情報システム(CLE)
巻号頁・発行日
vol.2011-CLE-6, no.1, pp.1-6, 2011-11-24

e ラーニング学習では,学習履歴データの取得が容易である事から,近年では取得した学習履歴データを解析し,学習支援の活用に向けた研究が盛んである.しかし,LMS から取得できる履歴データは,学習者の行動パターンを推定することはできるが,問題に対する集中度合いや,行き詰まりなど個人の学習状況の把握は難しい.そこで,集中力や眠気によって変化する事が知られている瞳孔反応を利用し,これまでの学習履歴データと併せることで,より的確な学習支援が行えると期待できる.しかしながら,瞳孔反応は,集中力だけでなく,外界の光量の影響を受けることが知られている.そこで,本稿では,光量の影響を受けない環境条件を整備し,瞳孔反応と集中力の関係を調べ,学習状況のパターン化の検討を行った.その結果,計算時における 4 つの学習状況におけるパターンを見出し,行き詰まり判定の可能性を得た.