著者
小松尾 京子
出版者
日本ソーシャルワーク学会
雑誌
ソーシャルワーク学会誌 (ISSN:18843654)
巻号頁・発行日
vol.28.29, pp.A1-A11, 2014-12-31 (Released:2017-10-23)

本研究は,主任介護支援専門員のスーパービジョン実践を明らかにすることを目的としている.主任介護支援専門員の実践環境や背景に着目し,成長の要因と実践方法についてグループインタビューを行った.その結果,成長の要因として,環境がモチベーションを保つことに影響を与えていた.主任介護支援専門員は事例検討会の経験による言語化を通して,スーパーバイザーとして成長していた.スーパービジョンの実践方法として,自身のスーパービジョン体験を活かし,スーパーバイジーを尊重した対応や支持的な働きかけをしていた.気づきを促すための問いかけを工夫しながらも,言うべきことは言う態度をとっていた.その一方で,スーパーバイザーとしての自己の確立は十分でないことが示唆された.主任介護支援専門員が対人援助の専門職として活躍するためには,日常業務である事例検討会を活用したスーパービジョンの方法論の確立が重要である.
著者
小松尾 京子 Kyoko Komatsuo
出版者
日本福祉大学社会福祉学部
雑誌
日本福祉大学社会福祉論集 (ISSN:1345174X)
巻号頁・発行日
no.133, pp.75-86, 2015-09

本研究は,実習指導者による実習スーパービジョンの課題について,教育的機能の視点から明らかにするものである.社会福祉士実習指導者講習会の受講者にアンケート調査を行った.その結果,受講者の8割以上が,スーパービジョンの経験がないまま,実習指導者として実習スーパービジョンを担う立場にあった.実習指導者の多くは,教育的機能の実施がもっとも難しいと捉えていた.その理由として,環境要因,教育方法,スーパーバイザーとしての自分自身の要因から整理できた.実習指導者の担う教育的機能の明確化や実習担当教員と実習指導者の連携のあり方,実習指導者の置かれている状況に対応したフォローアップ体制の検討が今後の課題である.
著者
三宅 亜希子 小沼 聖治 佐藤 光市 杉本 浩章 小松尾 京子 田中 和彦
出版者
日本福祉大学
雑誌
日本福祉大学社会福祉論集 (ISSN:1345174X)
巻号頁・発行日
no.129, pp.107-123, 2013-09-30

本研究は, 相談援助実習の巡回指導における実習教育スーパービジョンの内容とその課題を明らかにすることを目的としている. 巡回指導における複数回の実習教育スーパービジョンにおいて, それぞれの回で取り上げるべき実習教育スーパービジョン項目があることを仮説とし, 各回の実習教育スーパービジョンの項目を明らかにするための調査を行った. 分析方法は, 新カリキュラム初年度に本学通信教育課程の教員が作成した 『巡回指導ガイドライン』 の分類枠組みを作業仮説とした逐語データの分析である.その結果, (1)それぞれの回の巡回指導を構成する実習教育スーパービジョン項目の位置づけ, (2)実習生の語りから実習教育スーパービジョンの手がかりを得ることの有用性, (3)実習教育スーパービジョンにおける 「実習記録」 活用の有用性が明らかになった.