著者
小林 優介
出版者
公益社団法人 日本都市計画学会
雑誌
都市計画論文集 (ISSN:09160647)
巻号頁・発行日
vol.49, no.3, pp.213-218, 2014-10-25 (Released:2014-10-25)
参考文献数
27

本研究は、都市計画や緑地計画のために、斜面林の環境経済価値の評価することを目的とする。このためにヘドニック・アプローチを用いて分析を行う。本研究の対象地域は、東京都の南西部の7区とする。まず、斜面林の外部経済効果を評価するために、ヘドニック・アプローチにより、地価と傾斜別の樹林地との相関について考察する。そして、傾斜の閾値により、地価評価地点から250m以内に含まれる傾斜の閾値未満の樹林地セル数と、地価評価地点から250m以内に含まれる傾斜の閾値以上の樹林地セル数の2つの説明変数により分析を行う。この2つの説明変数について、5%有意水準を満たすかどうかを明らかにする。次に、自由度調整済み決定係数が最大でAICが最小となった閾値により、各区の斜面林、平地林、斜面の非樹林地、平地の非樹林地の分布の分析を行う。その結果、以下のようになった。1)両線形型、半対数型ともに、閾値を14度以下にした場合の斜面林の外部経済効果はプラスとなり、5%有意水準を満たした。2)両線形型、半対数型ともに、2度を閾値とした場合の外部経済効果が地価と最も相関が高かった。
著者
小林 優介 安岡 善文 沢田 治雄
出版者
日本造園学会
雑誌
ランドスケープ研究 (ISSN:13408984)
巻号頁・発行日
vol.72, no.5, pp.763-766, 2009
被引用文献数
5 4

都市域における公園緑地は都市形態規制効果、環境衛生的効果、防災効果、心理的効果、経済的効果、自然環境保全効果、休養・休息の場、子供の健全な育成の場、競技スポーツ・健康運動の場、教養・文化活動等様々な余暇活動の場、地域のコミュニティ活動・参加活動の場等様々な役割を果たしている。しかし、公園緑地のもつ非市場財という性格上、その外部経済効果を市場価格から直接評価することはできない。そのため、環境経済学の観点から非市場財を評価するさまざまな手法が提案されている。本研究では、公園・運動場等内の樹林地の存在が周辺地域の地価に外部経済効果をもたらしているか、もたらしているならどの範囲にどの程度もたらしているかを明らかにすることを目的とする。