著者
小林 光一
出版者
武蔵工業大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
1997

本研究は「ジカチオン性二鎖型LB膜の作製とその吸着特性」を中心に系統的に行われたものである。以上研究費補助期間中に得られた結果を以下に要約する。モノジカチオン性アルキルアンモニウム塩(SAC,DAC,DSACとTSAC),ジカチオン性アルキルアンモニウム塩(XSAC)および第1級アルキルアミン(ODA)の膜形成能について検討した。これらの物質のうちで、二つあるいは三つアルキル基を持つDSAC,TSACおよびXSACは安定な単分子膜を形成することが明らかにされた。また、ODAはpH10以上で安定な単分子膜を形成することが分った。一方、MOやNO水溶液上でのπ-A等温線の測定から、TSAC,XSACおよびODAの単分子膜は下層水中のNOやMOイオンと強く相互作用することがわかった。作製されたTSAC,XSACおよびODAのLB膜はカチオン性の性質を保持しており、NOやMOなどの色素イオンに対して高い吸着特性を示した。これらの吸着挙動はLB膜中の炭化水素鎖の充填状態やpHによって影響することが分かった。また、これらの色素の吸着は静電的な相互作用によって化学量論的に起ることもわかった。さらに、カチオン性LB膜中のNOやMOの吸着状態には差異があることが明らかになった。すなわち、MO分子は膜表面に対してほぼ垂直な配置を取り、一方NO分子はLB膜表面に横たわった配置を取る。これはMOとNOの分子構造の違いに起因するものと考えられる。この研究で得られた分子配置についての情報はカチオン性LB膜へのいろいろな吸着質の吸着挙動を理解するのに役立つことが期待される。
著者
小林 光一
出版者
名古屋大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2010

アデノ関連ウイルスを利用したwnt11治療によりウイルス性心筋炎マウスの生存を約3割改善することが可能であった。またその機序の解明のためマクロファージ系の培養細胞を使いwnt11を作用させたところ活性化されたマクロファージからの炎症誘導物質の産生が有意に抑制されることが確認された。副作用が少なく、持続的な発現誘導が可能なアデノ関連ウイルスを利用することでwnt11が心筋炎に対して治療効果を示すことが確認された。