著者
小林 匡子
出版者
公益社団法人 日本薬学会
雑誌
ファルマシア (ISSN:00148601)
巻号頁・発行日
vol.57, no.12, pp.1134, 2021 (Released:2021-12-01)
参考文献数
3

腸管粘膜には食物などに対する免疫応答を抑制する機構(免疫寛容)が存在し,この機構に異常が生じると炎症性腸疾患や食物アレルギーなどが引き起こされる.末梢での免疫寛容に重要な役割を担うのが,Foxp3によって免疫寛容能を獲得した制御性T細胞(regulatory T cells: Treg)であり,Foxp3の変異により食物アレルギーを発症したマウスにTregを移植するとアレルギー反応が抑制されることが知られている.最近,中国において潰瘍性大腸炎の補助療法薬として認知されている白頭翁湯が,腸管粘膜に存在するTregを増加させて免疫寛容を促し,炎症性腸疾患を改善することが報告されたので紹介したい.なお,本稿は下記の文献に基づいて,その研究成果を紹介するものである.1) Miao Z. et al., Front. Pharmacol., 11, 531117(2021).2) Yamamoto T. et al., Biochem. Biophys. Res. Commun., 516, 626-631(2019).3) Nagamatsu T. et al., Am. J. Reprod. Immunol., 80, e13021(2018).
著者
北爪 智哉 佐藤 武彦 小林 匡 林 正添
出版者
公益社団法人 日本化学会
雑誌
日本化学会誌(化学と工業化学) (ISSN:03694577)
巻号頁・発行日
vol.1985, no.11, pp.2126-2130, 1985-11-10 (Released:2011-05-30)
参考文献数
24
被引用文献数
7

分子内にフッ素原子を有するマロン酸ジエステル誘導体の不斉加水分解反応を行ない,光学活性なモノフルオロ化合物の合成中間体を生成させるための微生物学的変換を検討した。その結果,有機フッ素化学の領域における実用的な光学活性シントンとなりうる2-フルオロマロン酸モノエステル誘導体の両鏡像体を簡便な方法で多量に得ることができた。
著者
安東 俊明 恩田 昌彦 森山 雄吉 田中 宣威 京野 昭二 小林 匡
出版者
一般社団法人日本消化器外科学会
雑誌
日本消化器外科学会雑誌 (ISSN:03869768)
巻号頁・発行日
vol.23, no.4, pp.889-893, 1990-04-01
被引用文献数
88

誤嚥魚骨による消化管穿孔・穿通は比較的まれであり,さらにその診断は非常に困難とされている.最近,誤嚥魚骨による小腸穿孔2例,および肛門穿通1例を経験し,2例を術前に診断しえた.小腸穿孔の1例は急性虫垂炎穿孔の診断にて開腹したが,他1例は術前腹部CTにて魚骨を確認した.また肛門穿通例は直腸指診にて魚骨を確認した.本邦報告例は自験例3例を加え240例であり,穿孔・穿通部位は肛門が最も多く,次いで回腸,横行結腸,S状結腸,食道の順で,胃,十二指腸には少なかった.ほとんどの例で何らかの外科的処置がなされているが,術前に診断されている例は少なかった.特に腹腔内消化管穿孔・穿通の術前診断は極めて困難であるが,自験例を含め腹部CTで診断された報告があり有用な検査と考えられた.ただし報告例は炎症性肉芽腫などの慢性炎症に限られており,自験例のごとく汎発性腹膜炎症例を術前に診断しえた報告例はなかった.