著者
小林 幸治 吉野 眞理子 山田 孝
出版者
日本保健科学学会
雑誌
日本保健科学学会誌 (ISSN:18800211)
巻号頁・発行日
vol.12, no.1, pp.31-40, 2009-06-25
被引用文献数
1

病院の作業療法で行われている,脳血管障害者の心理社会面への具体的な支援の内容と支援における問題点を探索的に明らかにするため,病院勤務の作業療法士(OTR)を対象に自由記述式設問を含んだ質問紙調査を行った。434名を無作為抽出し,129の回答を得た。KJ法を用いたカテゴリー化から,支援の内容5項目,支援上の問題点5項目,他職種との連携で配慮する点4項目の大カテゴリーを見出した。支援の内容は[治療的な関わり方],[個人・環境因子への関わり],[心理面の専門的支援],[チームでの関わり],[作業活動・集団の活用]の大カテゴリーがあり,OTRは[治療的な関わり方]を最も重視していると思われた。支援上の問題点は[クライエント側の問題],[障害受容を促す],[OTR側の問題],[環境・制度上の問題],[OTR-クライエント関係における問題]があった。これより,OTRにはナラティブリーズニングを用いての,クライエントの主観的側面に着目したモデルや評価法を用いることや,クライエントとの協業や他職種との連携における実践技術が必要になると思われた。
著者
小林 幸治 秋葉 祐子 瀬間 久美子 小林 法一 山田 孝
出版者
社団法人日本作業療法士協会
雑誌
作業療法 = The Journal of Japanese Occupational Therapy Association (ISSN:02894920)
巻号頁・発行日
vol.28, no.3, pp.266-276, 2009-06-15
参考文献数
37
被引用文献数
1

わが国のOTにおいて,脳血管障害者の心理社会面に対して行われている支援内容を明らかにすることを目的として文献的研究を行った.過去10年分の論文,日本作業療法学会演題から,OTRが行った支援内容が記述された箇所をラベルとして抽出し,KJ法によってグループ編成を行った.1. 障害とともに生きていくための支援を行う,2. 作業を介した治療的関わりを行う,3. クライエント-OARの協業的関係を築く,4. クライエント・家族の生活環境づくりを行う,の4つの大カテゴリーが見出された.1が本支援内容のコアカテゴリーであると考えられた.脳血管障害者の心理社会面について,本結果の内容を組み込んだOTを計画し実践する必要がある.The purpose of this study was to investigate the kinds of psychosocial supports occupational therapists provide for stroke clients. We examined Japanese journals of occupational therapy from 1995 to 2004 and formed categories by using the KJ method. As a result, we discovered four typical categories: (1) support to live with disability, (2) use of therapeutic activities effectively, (3) establishment of client-therapist collaborative relationships, (4) providing comfortable environments for clients and families. We regard category (1) as the core category. In conclusion, it is necessary for occupational therapists to understand the psychosocial supports necessary for stroke clients.
著者
古川 勝彦 阿世知 昌弘 八木 信幸 小林 幸治
出版者
国立研究開発法人 科学技術振興機構
雑誌
情報管理 (ISSN:00217298)
巻号頁・発行日
vol.51, no.6, pp.398-407, 2008 (Released:2008-09-01)
参考文献数
4

研究開発に関わる情報は企業にとって経営の根幹ともなる機密情報である。大学にとって,産学連携は重要な取り組みであるが,これまで大学ではこうした研究情報の管理体制が脆弱(ぜいじゃく)であり,それが産学連携の推進を妨げる要因ともなっていた。本論文では,記録情報管理システムを取り入れることによって研究情報の管理体制を強化した九州大学知的財産本部の産学連携に関する情報管理の現況を報告した。目録管理と所在管理が適切に行われるような仕組みを作ることが重要であり,文書種類別に機密度を設定するなど,実践しやすさを心がけている。その実践の上で,産学連携をさらに発展させるために必要となる要件を整理し,今後情報管理に求められる課題について展望した。