- 著者
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植田 隆太
今 裕史
和久井 洋佑
阪田 敏聖
蔵谷 大輔
武田 圭佐
小池 雅彦
鈴木 昭
- 出版者
- 一般社団法人 日本消化器外科学会
- 雑誌
- 日本消化器外科学会雑誌 (ISSN:03869768)
- 巻号頁・発行日
- vol.53, no.12, pp.985-991, 2020-12-01 (Released:2020-12-26)
- 参考文献数
- 16
- 被引用文献数
-
2
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症例は63歳の男性で,糖尿病性腎症による末期腎不全で血液透析を19年間施行し,高カリウム血症のためポリスチレンスルホン酸カルシウム(calcium polystyrene sulfonate;以下,CPSと略記 商品名:カリメート散)を内服していた.進行する貧血と黒色便に対する精査で下行結腸癌の診断となり,腹腔鏡下結腸部分切除術(下行結腸),D3郭清を施行した.術後経過は良好で第11病日に退院したが,その後も貧血の進行と血便を認めたため,第43病日に下部消化管内視鏡検査を施行した.吻合部に全周性の出血する潰瘍を認め,その他に縦走潰瘍を1か所認めた.潰瘍からの生検では,潰瘍底に好塩基性多菱形の沈着物を認め,CPSの関与が疑われた.そのためCPSの内服を中止したところ,貧血の進行は止まり,その後の下部消化管内視鏡検査でも潰瘍は改善していた.それ以降3年間,癌および潰瘍の再発なく生存中である.