著者
宮川 しのぶ 津田 朗子 西村 真実子 木村 留美子 稲垣 美智子 笠原 善仁 小泉 晶一 関 秀俊
出版者
日本小児保健協会 = The Japanese Society of Child Health
雑誌
小児保健研究 (ISSN:00374113)
巻号頁・発行日
vol.61, no.3, pp.457-462, 2002-05-31
参考文献数
21
被引用文献数
3

小学3年から高校3年までの1型糖尿病患児38名の学校生活での療養行動とそれに伴う困難感を検討した. 療養行動をしている割合は, インスリン自己注射81.6%, 血糖自己測定44.7%, 間食, 補食摂取31.6%であった. 療養行動の施行場所は, 小学生では主に保健室であったが, 中高生ではトイレや教室が多く, 94.7%の児がいずれかの療養行動を行っており, その50%が「しにくい」と感じていた. 困難感を抱く理由には, 療養行動を不思議がられたり, 特別視されることによるものが多い. また97.4%が低血糖症状を経験していたが, 病気や療養行動を知られたくないために我慢をする場合や, 保健室に行くことがあった. 以上から多くの患児が学校での療養行動に困難感をもっているため, さらなる学校現場での正しい理解と環境作りが必要と考えられた.