著者
小泉 源一
出版者
公益社団法人 日本植物学会
雑誌
植物学雑誌 (ISSN:0006808X)
巻号頁・発行日
vol.25, no.289, pp.42-61, 1911 (Released:2007-05-24)
被引用文献数
2 2
著者
小泉 源一
出版者
日本植物分類学会
雑誌
植物分類,地理
巻号頁・発行日
vol.1, no.1, pp.102-103, 1932

地球上最古の被子植物として一九二三年J. H. HOSKINS氏は北米の石炭紀最下部よりAngiospermophytonを發見せりと云ひしもA. C. SEWARD教授によれば,之はMedulosaの葉柄にしてMyeloxylonなりと云はれ,被子植物の最古のものは矢張りH. THOMAS氏がYorkshireの侏羅紀より發見せる一種の果實是なりと云ふ,然るに1929年G. R. WIELAND氏はアルゼンチンの三疊紀最上部のレ-チツク層よりトネリコ屬(Fraxinus)近似の被子植物の果實を發見したりと稱し,之をFraxinopsis minor及びF. majorの二種として記載せり.若し果して此新屬植物の果實が被子植物のものなりとせば,地球上最古の被子植物は又更に遡りて三疊紀最上部を起源となす事になる.大石氏はWIELAND氏のFraxinopsis果實は一種子双子葉のものに非ずしてPodozamitesのCycadocarpidiumの如く二種子を保有するものと考へたく,之こそWIELAND氏の所謂Hemi-Coniferなるべしと云ふ,それで地球上最古の双子葉植物は又侏羅紀へとひきあがれり.WIELAND氏は又Fraxinopsisと共に産する一のTaeniopteroid leaves亦双子葉植物のものなるべしと云へり.大石氏は此植物の所屬は不明なれども双子葉植物には非るべくStangeria やTaenitisに類せる裸子植物か羊齒類似の植物なるべしと云ひ,南米アルゼンチン,亞弗利加,印度等の三疊紀最上部(レ-チツク)より侏羅下部(リアス)に亙り生存せるものにてRhaetic Post-Gondwana Floraの要素として著甚なるものとし東北大學矢部教授の記念としてYabeiella屬を設立し,次の諸種を包括せしめたり.Yabeiella mareyesica (Geinitz) Oishi. アルゼンチン Y. brackebusohiana (Kurtz) Oishi. 南亞弗利加 Y. Wielandii Oishi. アルゼンチン Y. spathulata Oishi. アルゼンチン Y.? dutoiti Oishi. 南亞弗利加 Y.? crassinervis (Feist) Oishi. 南亞弗利加,印度,濠州(?),新西蘭土(?)
著者
小泉 源一
出版者
日本植物分類学会
雑誌
植物分類・地理 (ISSN:00016799)
巻号頁・発行日
vol.7, no.1, pp.1-13, 1938-02-28

1. フセンキエボシサウ(新種) (第一圖) 咸南赴戰高原に登る松興線インクラインの終點赴戰嶺驛附近の山中に發見す.花は黄白色,全形タチキエボシサウに近けれど長梗を有するを以て著し.本種亦白岩山及江原道金剛山中にも産す,Aconitum puchonroenicum UYEKI et SAKATA と新稱せり. 2. カイマ(蓋馬) トリカブト(新種) (第二圖) 本種は南鮮智異山産の淡黄トリカブトに近似すれども子房は常に5-6個,稀に4個あり,葉形は全く異なる.花は帶黄白色,白岩山1200-1300米高附近の斜面に多く生ず,尚漢垈里の赴戰山荘の北方約3KMの路傍の草叢中に1株開花せるを車上より目撃したれば高原一帶に生ずるならむ.Aconitum kaimaense UYEKI et SAKATA と新稱せり. 3. ビロウドヒナノウスツボ(新變種) 松興線インクライン最高點白巖山驛(1580M)附近の山中に生ず,テウセンゴマノハグサの全草白毛を被り葉裏絨毛を敷く一變種と思考せらるも,昨夏長津郡の山中にて採種せられし標品をも見たれば或ひは高原一帶に産する獨立種と見倣しScrophularia paikamicola SAKATA と新稱する方可ならむ. 4. 八重ノルリハンシヨウヅル(新品種) 咸南遮日峰近くの草本帶の岩石地に稀産す,ルリハンシヨウヅルの花八重のものなり,Clematis nobilis f. plena UYEKI et SAKATA と新稱す. 5. キレベンチシマイチゴ(新品種) 前記草本帶岩石地に小區域を限りて生ず,チシマイチゴの花瓣齒縁となれるものなり,新に Rubus arcticus f. dentipetala UYEKI et SAKATA と稱す. 6. エダウチホソバキリンサウ(新變種) 赴戰高原漢垈里の山荘より雲隱嶺麓の石店街附近に至る岩上,路傍等に處々生ず,分岐性甚だしく腋出枝を數多出し,其頂及莖頂に岐繖花序の黄花を附けたるホソバキリンサウの一變種なり,水原に於ける栽培の結果此の分岐性は土地的の變異にあらざるを知る,新に Sedum Aizoon var. ramosum UYEKI et SAKATA と命名す. 7. 白花カメバヒキオコシ(新品種) 本夏筆者の一人佐方は知友を介して新興林業社長の厚意に依り,トロツコにて大沙水里事務所より松興へ下山の途中,伐木運搬用索道始發點近くの崖上に基本種紫花のカメバヒキオコシ中に白花品一株混生せるを發見したれば急停車を命じて採集し得たり,蕚は緑色,花は純白色,全然紫色を帶ぶる事なし,Amethystanthus excissus var. typicus f. albiflorus SAKATA と命名せり,又筆者植木は殆んど時を同うして之を金剛山中(集仙峯)に發見したるは奇とすべし.