著者
壱岐尾 優太 佐賀里 昭 中野 治郎 近藤 康隆 小田 太史 大賀 智史 長谷川 隆史 東 登志夫
出版者
日本緩和医療学会
雑誌
Palliative Care Research (ISSN:18805302)
巻号頁・発行日
vol.15, no.4, pp.331-338, 2020 (Released:2020-12-21)
参考文献数
33

【目的】化学療法誘発性末梢神経障害(CIPN)を呈したがん患者の痺れおよび疼痛に対する破局的思考と,自覚症状,上肢機能,生活障害との関連を調べること.【方法】上肢にCIPNを認めた造血器腫瘍および消化器がん患者の破局的思考(PCS:合計得点,反芻,無力感,拡大視),痺れおよび疼痛に対する自覚症状,上肢機能,生活障害を評価し,Spearmanの順位相関係数を求めた.【結果】破局的思考と生活障害との間に有意な相関関係を認め,上肢機能との間には有意な相関関係は認めなかった.PCSの下位項目別では,反芻のみ自覚症状と有意な相関関係を認めた.【結論】上肢にCIPNを認めたがん患者の生活改善のためには,機能面に対する評価やアプローチだけでは不十分な場合があり,破局的思考などの認知的側面に対する評価やアプローチも考慮する必要がある.
著者
小田 太史 福田 治久
出版者
日本公衆衛生学会
雑誌
日本公衆衛生雑誌 (ISSN:05461766)
巻号頁・発行日
vol.68, no.1, pp.3-11, 2021-01-15 (Released:2021-01-30)
参考文献数
24

目的 リハビリテーションの主な目的は,日常生活動作を改善させることである。回復期病棟においては,患者に対して集中的なリハビリテーションを提供し,日常生活動作の改善を図ることが求められているが,検証が十分とは言い難い。本研究では,リハビリテーション提供時間に焦点を当て,病床機能報告制度の悉皆調査を用いて日常生活動作とリハビリテーション提供量の関係を検証する。方法 本研究は,2014年度から2017年度の病床機能報告から病棟別パネルデータを構築し,全国の回復期病棟を対象とした後方視的コホート研究である。主要評価項目に日常生活機能改善割合を,説明変数にリハビリテーション単位数を使用し,固定効果モデルを用いて回帰分析を実施した。結果 2014年度の病床機能報告から「機能区分」が回復期である2,003病棟を抽出し,437病棟(317病院)が分析対象となった。2014年度,2015年度および2017年度の日常生活機能改善割合の平均値は,それぞれ0.601,0.614および0.627ポイントであった。2014年度,2015年度および2017年度のリハビリテーション単位数の平均値は,それぞれ6.302,6.477および6.642単位であった。パネルデータ分析の結果,日常生活機能改善割合の増加とリハビリテーション単位数の増加に有意な関係を認めた(偏回帰係数=0.015, P=0.015)。結論 全国規模の調査を用いた病床レベルの検証において,リハビリテーション提供時間の増加が日常生活動作の改善に有意に関係していることが示された。