著者
小田倉 泉
出版者
埼玉大学教育学部
雑誌
埼玉大学紀要 教育学部 (ISSN:18815146)
巻号頁・発行日
vol.56, no.1, pp.95-107, 2007

これまで、乳幼児の権利は限定的なものであり、子どもの権利条約成立過程においても、乳幼児の権利への言及は、保護に関わる事項が主であり、意見表明権は乳幼児を対象にしたものではなかった。国連子どもの権利委貝会による「一般的注釈第7号」「乳幼児期における子どもの権利の実施」は、乳幼児が子どもの権利条約に規定された全ての権利の保有者であることを明記している。同委員会が強調しているのは、乳幼児の感情さえも尊重に値する意見である、ということである。コルチャックもまた、乳幼児の「涙と微笑みの言語」に耳を傾け、尊重することを強く要求している。コルチャックの乳児・幼児の権利観は、子どもの権利条約の理念への認乱と理解を深めるものであると考える。Historically the rights of young children were limited. Even in the process of the enactment of Convention on the Rights of the Child. Most of the mentions in young children were about protection and the right to express one's views was not applied to young children. The "General Comments 0.7": "Implementing Childs Rights in Early Childhood" by the Committee on the Rights of the Child describe clearly that young children are holders of all rights enshrined in the Convention. The Committee underlined even feelings of young child are "views" deserving of our respects. Korczak also urgeed to listen and respect young children's "the speech of tears and smiles". In this thesis. I propose that his ideas of young children and their rights can lead us to gain an appreciation and understanding of the philosophy of Convention on the Rights of the Child.
著者
小田倉 泉
出版者
埼玉大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2012-04-01

本研究の目的は、子どもの権利尊重に基づく教育実践を遂行するための、研修プログラムを作成することである。ここで言う子どもの権利尊重とは、J.コルチャックによる「子どもの人間としての権利」である。本研究ではコルチャックの思想に基づく実践として高い評価が報告されたイスラエルのアヴィハイル・スクールにおいて、その実践を調査し、今日の子どもの権利尊重実践のための研修プログラムを作成した。権利尊重実践のためのポイントは、子どもの権利を具体化するための子どもとの「対話」である。従って、研修プログラムは教師間の価値観の共有と対話力の向上に主眼を置いた3段階となった。