著者
小玉 美意子 白水 繁彦 吉田 文彦 小田原 敏 音 好宏 鈴木 弘貴
出版者
武蔵大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2003

1)本研究の研究対象テレビ局の夕方のニュース(午後6時から8時ごろの時間帯に30分程度放送する全国向けの番組)、即ち、ブラジルーGloboのJurnalNacional、イギリスーBBCのSixO'ClockNews、アメリカーCBSのCBSEveningNewswithDanRather、日本一NHKの『NHKニュース7』である。2)研究方法(1)各局の番組担当者、その他関係者とのインタビュー調査(2)各番組を2004年11月〜12月にかけての連続しない3週間にわたって録画し、ニュースの長さ、範域、分野、伝え手、情報源、画像素材などについてコーディングして分析する内容分析調査(3)上記の調査をもとに特定項目に着目して研究し考察する3)各国ニュース番組の特徴CBSは、自国と直接関係のある海外ニュースは多かったが外国ニュースは極めて少ない自国中心主義である一方、局独自のテーマ設定で医療番組に多くの時間が割かれた。NHKは地方ニュースをよく扱っており、社会ニュースが多いのだが、「発表もの」の比率が極めて高く、女性とマイノリティの参画は非常に少なかった。Globoは経済ニュースが多く、取材情報源は多様で、女性の参画比率が高かった。BBCは外国ニュースの比率が他国より高く、議会における政策論議を中心とする政治ニュースが多かった。4)9/11事件以後の国際テレビニュースの内容変化(1)9/11以後、世界のジャーナリズムは感情的になったといわれるが、CBS以外では認められなかった。(2)4番組とも政府情報源に大きく依存し、特に国際および外国ニュースにおいてそれは著しい。(3)同じ事件も番組により、視点や使う言葉で違った枠組みが作られ、それにより出来事の印象が変えられる。(4)"国際"を「外国で発生する自国ニュース」と捉えると、CBSは4つの番組の中で最も「自国志向」である。(5)9/11のような出来事は、ニュース制作過程、中でもニュース情報源に大きな影響を与えた。しかし、どの局も基本的な番組制作の方針は変えていない。