著者
北村 紗衣
出版者
武蔵大学
雑誌
研究活動スタート支援
巻号頁・発行日
2014-08-29 (Released:2014-09-09)

SNSを利用した大規模な受容の調査については倫理的に問題があり、実施できないだろうという結論に達した。一方でSNSを用いてシェイクスピア劇の受容状況を調査する事例研究については、演劇においては上演中にリアルタイムでのツイートができないためツイッターハッシュタグのあり方が他のイベントと異なっていて活用がしづらい一方、うまくマーケティングツールとして利用している演劇祭や上演もあり、またツイッターを用いて活発に意見交換を行っている観客層も存在することがわかった。
著者
千田 有紀 中西 祐子
出版者
武蔵大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2009 (Released:2009-04-01)

本研究プロジェクトでは、デートDVへの取り組み、とくにキャンパスでどのように取り組んでいるのかを調査することによって、日米の取り組みと暴力観を比較することが目的としていた。調査の結果、(1)アメリカのキャンパスの取り組みの中心を占めるのが学生寮であること、(2)これは学生寮があるという必要に迫られているからでもあるが、またさまざまな取り組みを浸透させやすくもしていること、(3)ただ啓蒙をおこなうのではなく、学生とセンターやNPOを結ぶ「リーダー」を育成し、学生の主体性を作り出すことが必要であること、(40プログラムは具体的であり、ただ一方的に「加害者」を批判したり、「被害者」の心がけを求めたりするものではなく、大部分の「傍観者」を暴力防止に巻き込んでいくのかに焦点があてられていること、(5)たんに暴力を防止するだけではなく、「正しい男性性」などの定義を変容させ、暴力を取り巻くメディア環境を含め、文化に多くの注意を払っていること、などが明らかになった。
著者
千田 有紀
出版者
武蔵大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2015-04-01 (Released:2015-04-16)

本研究は、エコロジーとフェミニズムの関係を問い直し、理論的に深化させることを目的としている。その際に、アメリカのカリフォルニアでの反原子力運動に着目する。この運動のうち、カリフォルニア大学が広島の原子爆弾を開発したことを批判し、日本に関心を寄せながら約30年間活動を続けている団体Circle of Concernと、福島第一原子力発電所の事故以降、日本領事館への請願活動を行っている団体を取り上げる。これら団体の調査はすでに、平成27年度におこなっている。今年度は、昨年度のこのフィールドワークの成果である、アメリカのカリフォルニア州バークリーで行ったインタビュー調査のまとめと、参与観察調査の分析をおこなった。さらにそこに韓国の環境運動を視野に入れて、日本の東日本大震災が韓国の環境運動にどのような影響を与えたのかについてなど、日米比較の枠を超えて分析の視野を広げた。有機農法やスローライフといった運動が、放射性物質にどう立ち向かえるのかを考えさせられ、また運動のあり方の再考がせまられたという。それと並行して、エコロジーやフェミニズム、とくに母性に関する基礎文献を読み込んだ。さらに「一億総活躍社会」がめざされ、「保育園落ちた、日本死ね」といったブログが注目され、女性の就労が支援されているかのような社会変動の中で、専業主婦的な性別役割分業を前提とした母性神話は変容をよぎなくされている。その変化についても考察した。
著者
攝津 斉彦 深尾 京司 斎藤 修 バッシーノ ジャンパスカル 高島 正憲
出版者
武蔵大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2013-04-01 (Released:2014-07-25)

連携研究者とともに近代日本の府県別産業別GDPを推計した。本研究の特徴は、既存の推計がカバーしていない1874年のデータを新たに構築した点にある。新しいデータセットを使った分析によって明らかになった主要な事実は以下の通りである。①従来考えられているよりも明治初期の日本は豊かであり、②明治期の経済成長率は低かった(それはすなわち、江戸時代の経済成長率が高かったことを意味する)、③地域間格差は明治初期に大きく拡大し、その後格差の拡大に歯止めがかかるが、このような変化の背後には人口の地域間移動が大きく影響していたと考えられる。
著者
武田 尚子
出版者
武蔵大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2009 (Released:2009-04-01)

「中間層」概念の形成・変容をめぐる国際比較を行い、イギリスにおけるベンジャミン・シーボーム・ロウントリーの社会調査と社会実践の関連について解明を試みた。また、日本の地域社会における「中間層」の形成・変容過程を調査し、都市空間、都市中間層の形成過程が密接に関連していることなどを明らかにした。
著者
小玉 美意子 小田 原敏 アンジェロ イシ 吉田 文彦 音 好宏 鈴木 弘貴 金山 智子 中 正樹 日吉 昭彦 黄 允一 小林 直美 沈 成恩 章 蓉
出版者
武蔵大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2008 (Released:2008-04-01)

本研究は、2008年8月に行われた北京オリンピック報道によって視聴者の対中国意識がどのように変化したか探ることを目的とし実施された。調査の結果、テレビニュース視聴者の中国(人)についての認識は、オリンピック前後で部分的に変化があったことが明らかとなった。中国(人)イメージが変化した人は直接的な経験(渡航経験や友人・知人)が無い、オリンピック前に中国に対しネガティブな印象を持っていた人がオリンピックを契機に良い印象を持ったようである。このような傾向を持つ人は若い世代が多く、今後テレビの報道内容によって、若者は中国(人)イメージが変化する余地が示唆された。中国(人)の印象が変化しにくい人は、メディア接触によって先有傾向の強化・補強が行われていることが推察された。取り上げられた出来事がインタビュー対象者自身の中国経験やイメージと結びつけられていたからである。テレビニュースは中国を発生地とする報道が全体の38.1%を占め、中国報道の議題設定や放送局別の傾向が明らかになった。視聴者はオリンピックの競技ニュースというよりは、オリンピック開催前、期間中の関連報道から中国(人)に関する情報を得ていたようである。またテレビをよく視聴した人は、新聞、インターネットなどに多く接した人よりも肯定的イメージへの変化がみられた。
著者
杉田 弘子 重藤 実 踊 共二 新田 春夫 川中子 義勝 GRAEB?KONNEKER Sebastian
出版者
武蔵大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
1999 (Released:1999-04-01)

本研究は社会史的視点からドイツ語の歴史的発展を近世から現代にいたるドイツ社会の変遷との関わりにおいて捉え直そうとするものである。15〜16世紀ドイツの言語と社会に関して踊は、宗教改革運動における大衆向け活版印刷物を分析し、宣伝ビラや「新聞」が大衆メディアとして一般信徒の日常生活に浸透し、相互のコミュニケーションに重要な役割を果たしていたことを明らかにした。16、17世紀について新田は、この時代、遠隔地とのコミュニケーションが増えたことから文書の社会的重要性が高まった結果、書き言葉が言語的規範となり、ドイツ語も書き言葉的性格を強めたことをルターのドイツ語の分析によって示した。また、重藤は、近世ドイツ語を中心に現代語に至るまでの分詞によるさまざまな構文を分析し、ドイツ語における分詞用法の歴史的衰退を代替表現との関連において考察し、他の言語との比較によってその類型的位置付けを試みた。18世紀ドイツの言語思想の流れの中で川中子は、ハーマンの言語論を中心的な分析対象とし、彼の言語思想における詩学・文芸学、とくに、比喩形象・修辞の役割を明らかにした。また、ハーマンの生涯について調査し、その全体像を描いて、著書にまとめた。19世紀について杉田は、ニーチェの言語思想を同時代の社会的思想状況の背景において分析し、彼の言語不信はその優れた言語芸術上の才能と知見のゆえのアンヴィアヴァレントな現れであることをを明らかにした。20世紀のドイツの言語と社会に関してSebastian Graeb-Konnekerは、ナチズム運動における文学と言語の問題を分析し、そのさまざまな言語的な現象の具体例をDokumentationという形で公刊した。
著者
小川 栄一
出版者
武蔵大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2012-04-01 (Released:2013-05-31)

平成27年度における研究の成果を論文「漱石作品における伝聞表現について」(『武蔵大学人文学部雑誌』第47巻第3・4号 平成28年3月)に発表した。その内容を以下に紹介する。そもそも、現代と比較してメディアが未発達であった当時において、人々は情報の取得をうわさや世間話など伝聞に多く依存していたと考えられる。伝聞表現は江戸語・東京語におけるコミュニケーションのあり方を考える上で重要な意義をもつといえよう。それのみならず、夏目漱石の小説作品には実に多くの伝聞表現が用いられており、漱石文学の特質の一つとなっている。たとえば、「伝聞そうだ」、「という話」、「うわさ」、「評判」、「~の話」、「(言う・話す・語る・聞く)ところによると」などの語句が数多く用いられている。伝聞表現の意義について考察すると、漱石の著書『文学論』(1907)に述べられた文学理論(文学的内容の形式を(F+f)と捉えるもの)に基づくものと理解される。Fとは焦点的印象又は観念、fとはFに付着する情緒を意味する。伝聞表現はそもそも曖昧であるが、曖昧とは漱石理論でいえばFが集合的な性格をもっていて、内部にさまざまな段階の差違を含んで一定しないことである。漱石によれば、Fは不断に変化するが、特に正反対のF´に推移する場合において最も強烈な刺激が発生するという。このことはオールポート・ポストマンの提唱した「うわさの公式」(デマの流布量は当事者に対する問題の重要さと、その証拠の曖昧さとの積に比例する)(『デマの心理学』1946)に基づいて解釈することが可能である。流布量の大きいデマは、その曖昧さ故に、漱石のいうf(心理的効果)が強い。漱石は、伝聞表現の曖昧さに伴う心理的効果(f)を期待して、伝聞表現を巧みに利用したものと理解される。
著者
新井 景子
出版者
武蔵大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2015-03-01 (Released:2014-07-25)

Nathaniel Hawthorneの作品のうち、これまでの研究で取り上げてこなかった小説(The Scarlet Letter、The Blithedale Romance)を考察し、その中でいかに“girl”像が描かれているか、またそこにいかなる女性観・国家観が見出せるかを検討した。主な成果として次の2点がある。1.The Scarlet LetterにおけるPearl像の考察最近の研究では、Pearlが「罪の象徴」以上の存在であるという指摘がされており、ピューリタンのジェンダーロールに縛られない未来の女性像を示しているという見方が示されている。しかし一方でPearlは、最終的に”wild”であることをやめ、「どこか未知の場所」で幸せな結婚をし「家庭の天使」となる。本研究では、このようなPearlの位置づけの曖昧さに注目し、HesterとPearlの強い母娘関係を検討することで、そこにHawthorneのアンビヴァレントなジェンダー観がいかに見いだせるかを考察した。研究の成果は、平成28年6月の国際学会にて発表予定である。2.The Blithedale RomanceにおけるPriscilla像の考察PriscillaはHawthorneの作品中でも特に保守的なフェア・レディとみなされてきたが、本研究では、自らの力で立てず声を発することもできない”child”として登場したPriscillaが、いかに”girl”から、声を持つ”woman”へと成長していくか、またそこにいかなる「改革」が見いだせるかを検討した。現在成果を論文としてまとめている。上記に加え、Hawthorneの作品におけるアメリカンガール像について、平成27年度の成果およびそれ以前の成果をまとめた形として、平成28年度10月の学会で成果を発表する予定である。
著者
東郷 賢 加藤 篤史 蟻川 靖浩 和田 義郎 加藤 篤史 蟻川 靖浩
出版者
武蔵大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2007 (Released:2007-04-01)

アフリカ(ケニア、ボツワナ、ガーナ、アフリカ開発銀行)を訪問し、それぞれの国の経済成長における援助の果たした役割についてヒアリングを行った。また、援助供与国の中で最も優れていると言われるデンマークの援助庁も訪問し援助方針についてヒアリングを行った。OECD も訪問し、援助データの詳細について議論をおこなった。これらの内容を踏まえて分析を行っている。その結果、経済成長に関し援助の果たす役割は決定的ではないものの、効果的に利用することは可能であることが判明した。