著者
小竹 良文 佐藤 暢一
出版者
一般社団法人 日本集中治療医学会
雑誌
日本集中治療医学会雑誌 (ISSN:13407988)
巻号頁・発行日
vol.16, no.3, pp.263-272, 2009-07-01 (Released:2010-01-20)
参考文献数
45
被引用文献数
11

重症患者管理において心拍出量測定による酸素供給量の評価は有用であるとされてきた。これまで心拍出量の標準的な測定方法は肺動脈カテーテルを用いた熱希釈法であったが,最近,低侵襲心拍出量モニタが注目されている。これらのモニタの評価にあたっては,精度の評価が重要となる。異なるモニタから得られる結果の一致度を検討する手段としては,相関分析や回帰分析よりも,Bland-Altman分析が適切である。Bland-Altman分析を適切に解釈するためにはいくつかの注意点が存在する。特に一致度の許容範囲をあらかじめ定義しておくことが望ましいとされているが,基準は確立されておらず,モニタの特徴に合わせた評価が必要である。また,繰り返し測定によって1人の対象から複数のデータを収集することが一般的になりつつあるが,この場合は特殊な統計学的処理を必要とする。本稿では自験例を示しながら,これらの点に関して解説を加えた。
著者
小竹 良文 豊田 大介 篠田 重男 牧 裕一
出版者
日本臨床麻酔学会
雑誌
日本臨床麻酔学会誌 (ISSN:02854945)
巻号頁・発行日
vol.34, no.4, pp.549-555, 2014 (Released:2014-09-06)
参考文献数
16

大量出血に対して,代用血漿剤は循環血液量の維持を目的として投与される.アルブミンより価格が安いが大量投与による副作用が懸念されるため,晶質液とアルブミンによる循環血液量維持のギャップを埋めるために用いることが多い.代謝が速やかで,凝固系への影響の少ない中分子量低置換度のヒドロキシエチルデンプン(HES)製剤が主流である.近年,重症敗血症患者に対して高用量を連日投与した場合,腎機能に対して悪影響があることが示されているが,大量出血に対する蘇生として用いた状況では腎機能に対する悪影響は認められていないことから,蘇生目的に限り,投与上限以下であれば腎機能に対する悪影響の可能性は少ない.
著者
小竹 良文
出版者
一般社団法人 日本集中治療医学会
雑誌
日本集中治療医学会雑誌 (ISSN:13407988)
巻号頁・発行日
vol.19, no.1, pp.11-16, 2012-01-01 (Released:2012-07-10)
参考文献数
20

人工呼吸器関連肺炎の病態には,気管チューブ周囲からのマイクロアスピレーションおよび気管チューブ表面のバイオフィルム形成が深く関与している。人工呼吸器関連肺炎を予防するための手段として,定期的なカフ圧の調節,声門下吸引などの手段がガイドラインなどにも取り上げられている。さらに,カフ素材および形状の変更,気管チューブ表面の抗菌薬コーティングなどの有用性が報告され,実際に臨床使用が可能になりつつある。