著者
井元 信之 小芦 雅斗
出版者
一般社団法人 日本物理学会
雑誌
日本物理学会誌 (ISSN:00290181)
巻号頁・発行日
vol.56, no.1, pp.17-24, 2001-01-05 (Released:2008-04-14)
参考文献数
53

物理における位置づけを主な視点として量子暗号(あるいは広く量子情報処理)を解説する.これまで扱われてこなかった基礎的な問題が解明されつつあることや,一つの量子系が客観的存在でなく複数主体から相対的に見えるという量子力学本来の側面が重要となるところに,量子暗号研究の面白さがある.
著者
蔡 兆申 都倉 康弘 北川 雅浩 高橋 義郎 占部 伸二 竹内 繁樹 小芦 雅斗 樽茶 清悟 工位 武治
出版者
独立行政法人理化学研究所
雑誌
新学術領域研究(研究領域提案型)
巻号頁・発行日
2009-07-23

1.事後評価報告書作成の為、総括班メンバーによる会合を2回開催(4月24日、理研東京連絡事務所-6月12日、WTCコンファレンスセンター)し、以下の通り成果を確認した。:量子サイバネティクス領域は、高度で複雑な量子状態制御を目指している。応募時には、①新規な量子制御・検出の実現と、②多様な物理系においての包括的な量子制御の理解、を領域の目標として挙げた。また応募時の研究期間内の成果の一例として、混合量子系での単量子の操作や検出の目覚ましい進展を挙げた。数多くの混合量子系の可能性の中で、特に人工原子量子光学での飛躍的発展や、人工原子と機械振動の結合、微視量子系と固体素子量子系の結合の実現などに言及した。5年の研究の結果、領域内の全ての物理系で、量子状態制御の科学技術大きく進展し、設定目標はほぼ達成された。「①新規な量子制御・検出」に関しては、超伝導人工原子での高忠実度状態制御や量子非破壊・単事象観測などをはじめ、すべての物理系で目覚ましく進展を遂げた。「②多様な物理系においての包括的な量子制御の理解」に関しては、例えば超伝導人工原子量子光学と、従来の自然原子の量子光学との比較より、特に「単原子」量子光学に関する新規な知見を得、より包括的な理解を確立した。また他の多くの新規な混合量子系を実現した成果から、より包括的な理学が生まれた。また目標には当初なかった、新規な量子効果である超伝導細線でのコヒーレント量子位相滑りの実現などの成果も達成した。全論文数372件、内トップ1%引用論文は20件あることから、遥かに標準を超えた成果が生み出されたことが分かる。また既存の学問分野の枠に収まらない新興・融合領域の創成という目標に対し、数々の学際的な研究成果を達成した。2.研究成果報告書(冊子体)の作成に向け、会合を開催(9月30日、筑波大学東京キャンパス)し、全113頁の報告書を作成した。