著者
向井 寛人 朝永 顕成 蔡 兆申
出版者
公益社団法人 低温工学・超電導学会 (旧 社団法人 低温工学協会)
雑誌
低温工学 (ISSN:03892441)
巻号頁・発行日
vol.53, no.5, pp.278-286, 2018-09-20 (Released:2018-10-27)
参考文献数
60

Research towards the realization of superconducting quantum computers is progressing rapidly. Recently, the number of integrated quantum bits (qubits) has begun to exceed 50 bits, and such quantum system has the potential capability to surpass that of any classical computer (quantum supremacy). To improve gate fidelity, research on qubits and surrounding environments are actively being studied. Which superconducting circuit will become the platform for quantum computers? What kind of technologies and theory will be used for quantum computers? In this paper, we cover many issues leading towards the realization of quantum computing systems.
著者
中村 泰信 蔡 兆申
出版者
公益社団法人 応用物理学会
雑誌
応用物理 (ISSN:03698009)
巻号頁・発行日
vol.69, no.11, pp.1299-1304, 2000-11-10 (Released:2009-02-05)
参考文献数
38
被引用文献数
2

量子計算機の実現に向けて,さまざまな物理系を用いた量子ビットおよび叢子演算ゲートの提案がなされている,本稿では,超伝導素子,特にジョセブソン接命を用いた固体電子素子による量子ビットに注目し,その最初の実現例および関連するいくつかの提案例を紹介する.
著者
蔡 兆申 中村 泰信 阪本 利司
出版者
公益社団法人 応用物理学会
雑誌
応用物理 (ISSN:03698009)
巻号頁・発行日
vol.63, no.12, pp.1232-1238, 1994-12-10 (Released:2009-02-05)
参考文献数
43

トンネル素子の微細化を進めると,ある時点で系の静電エネルギーが十分大きくなり,熱ゆらぎや量子ゆらぎに対して無視できない量になる.このような素子にひとつ余分に電子を出したり入れたりするのには,ある決まった量の余分なエネルギーが必要である.このような物理を利用した回路技術がシングルエレクトロニクスであり,例えば一素ゲート電荷 (Qgate=e) のみにより,電流のオンオフやひいては単一電子の輸送の制御などのことができる.本文ではわれわれがAl接合により作製した単一電子電荷計,電子箱,電子トラップなど各種回路の動作実験を中心に,シングルエレクトロニクスの研究動向および将来の展望を考察する.
著者
日高 睦夫 橋本 義仁 蔡 兆申 田原 修一
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会ソサイエティ大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.1995, no.2, 1995-09-05

我々は高温超伝導体のエレクトロニクス応用としてサンプラー回路を提案している。高温超伝導SNS接合はオーバーダンプ接合であるため、我々の提案しているサンプラーはノンラッチング夕イプである。ノンラッチングサンプラーはラッチングタイプに比べて時間分解能が高いことが期待されている。しかし、従来のジョセフン接合を用いたサンプラー回路はほとんどがラッチングタイプであり、ノンラッチンダサンプラー回路の動作確認は未だなされていない。そこで、Nb系の集積回路技術を用いて我々の設計したノンラッチサンプラーの試作、測定を行い回路が正常動作することを確認した。
著者
蔡 兆申 都倉 康弘 北川 雅浩 高橋 義郎 占部 伸二 竹内 繁樹 小芦 雅斗 樽茶 清悟 工位 武治
出版者
独立行政法人理化学研究所
雑誌
新学術領域研究(研究領域提案型)
巻号頁・発行日
2009-07-23

1.事後評価報告書作成の為、総括班メンバーによる会合を2回開催(4月24日、理研東京連絡事務所-6月12日、WTCコンファレンスセンター)し、以下の通り成果を確認した。:量子サイバネティクス領域は、高度で複雑な量子状態制御を目指している。応募時には、①新規な量子制御・検出の実現と、②多様な物理系においての包括的な量子制御の理解、を領域の目標として挙げた。また応募時の研究期間内の成果の一例として、混合量子系での単量子の操作や検出の目覚ましい進展を挙げた。数多くの混合量子系の可能性の中で、特に人工原子量子光学での飛躍的発展や、人工原子と機械振動の結合、微視量子系と固体素子量子系の結合の実現などに言及した。5年の研究の結果、領域内の全ての物理系で、量子状態制御の科学技術大きく進展し、設定目標はほぼ達成された。「①新規な量子制御・検出」に関しては、超伝導人工原子での高忠実度状態制御や量子非破壊・単事象観測などをはじめ、すべての物理系で目覚ましく進展を遂げた。「②多様な物理系においての包括的な量子制御の理解」に関しては、例えば超伝導人工原子量子光学と、従来の自然原子の量子光学との比較より、特に「単原子」量子光学に関する新規な知見を得、より包括的な理解を確立した。また他の多くの新規な混合量子系を実現した成果から、より包括的な理学が生まれた。また目標には当初なかった、新規な量子効果である超伝導細線でのコヒーレント量子位相滑りの実現などの成果も達成した。全論文数372件、内トップ1%引用論文は20件あることから、遥かに標準を超えた成果が生み出されたことが分かる。また既存の学問分野の枠に収まらない新興・融合領域の創成という目標に対し、数々の学際的な研究成果を達成した。2.研究成果報告書(冊子体)の作成に向け、会合を開催(9月30日、筑波大学東京キャンパス)し、全113頁の報告書を作成した。
著者
蔡 兆申 BILLANGEON Pierre-marie
出版者
独立行政法人理化学研究所
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2008

この研究では、如何に超伝導量子ビット(コヒーレント制御可能な2準位の量子システム)を多数集積し、それらを自由に結合させ、コヒーレンスを保ちながら、量子状態の操作を行うことができるか、ということを研究することがその主題である。このような研究は、将来の量子コンピュータの実現を視野に入れて行っている。2009年度では、二つの量子ビットと結合させる幾つかの方法を研究した。まず二つの量子ビットを、第三の量子ビットを介して結合させる方式を考慮した。この方法はすでに本研究グループで以前より研究されていたものを改良・発展したものである。この新結合方式は、この量子系の時間発展を解析的に研究したことにより得られたものである。現在この最新の結果を論文にまとめている最中である。またこの結合方式の回路を実現するため、新たな多層超伝導配線を備えた微小アルミトンネル接合回路の作製法を開発した。このような多層配線構造は、量子ビット数のスケールアップには欠かせないものであると考えている。すでにこの新結合式を取り込んだ資料の作成を終え、現在その評価をする準備を行っている。二番目の結合方式の研究のアプローチは、既にイェール大学で研究が進んでいる超伝導マイクロ波共振器を介した量子ビットの結合方法である。我々のグループでも超伝導共振器関連の研究を過去数年間行ってきた。我々はこの共振器を介し、遠方にある量子ビット同士を結合させることを考えた。このような結合方式の資料を作成し、現在その特性評価を行っている。上記二つの結合方式の違いは、量子ビット型結合器を使うものが隣接するする量子ビットを結合させる機能を持つが、共振器型の結合器は遠方の量子ビットを結合できる特徴を備えている。二つの方式は量子誤り訂正などの重要なアルゴリズムを実行するにあたり、異なった特性を示すので、実際に実験的に確かめる必要がある。