著者
大島 伸一 藤田 民夫 小野 佳成 加藤 範夫 松浦 浩 竹内 宣久 西山 直樹 水谷 一夫
出版者
社団法人日本泌尿器科学会
雑誌
日本泌尿器科学会雑誌 (ISSN:00215287)
巻号頁・発行日
vol.85, no.11, pp.1673-1678, 1994
被引用文献数
2

多発性嚢胞腎疾患症例における腎機能廃絶後の透析期の腎盂腎炎および嚢胞感染, 嚢胞出血等の発生頻度とそれらの治療における腎摘出術の有効性を検討した. 対象は透析をうけている多発性嚢胞腎疾患症例41例で, 男性25例, 女性16例, 平均年齢は55歳, 平均経過観察期間69ヵ月である. 腎盂腎炎および嚢胞感染は13例 (32%) 21回が, 嚢胞出血は13例 (32%) 16回にみられた. ともに保存的治療に反応しない場合やくり返す場合には腎摘出術を行った. それぞれ両側腎摘出術を10例, 片腎摘出術を1例に, また, 両側腎摘出術を5例, 片側腎摘出術を2例に施行した. 手術死は1例にみられた. 不明1例を除く14例の術後平均観察期間70ヵ月であったが, 両側腎摘出術後の無腎状態から生ずる貧血は13例93%に, 低血圧は5例33%にみられた. 以上の結果より維持透析をうけている多発性嚢胞腎疾患では, (1) 腎盂腎炎および嚢胞感染, 嚢胞出血等の合併症が高頻度で生ずること, (2) これらの合併症が腎機能廃絶後では透析と相まって保存的治療では治療困難であること, (3) 貧血や低血圧に対する治療は必要となるものの両側腎摘出術は有効な治療法となりうることが示唆された.
著者
上平 修 小野 佳成 佐橋 正文 山田 伸 大島 伸一
出版者
一般社団法人 日本泌尿器科学会
雑誌
日本泌尿器科学会雑誌 (ISSN:00215287)
巻号頁・発行日
vol.84, no.6, pp.1095-1098, 1993-06-20 (Released:2010-07-23)
参考文献数
5
被引用文献数
1

薬物治療に反応しない難治性非細菌性慢性前立腺炎患者13例に対して, Biodan 社製“プロスタサーマー”を用いて経直腸的温熱療法を行った.治療は外来通院にて, 1回の治療で前立腺を42℃~43℃に加温, これを60分間行い, 週2回の割合で合計6回施行した.3ヵ月経過観察できた11例のうち, 6例 (55%) に自覚症状の消失, または改善を認めた. 9例中4例 (44%) にEPS中の白血球数の正常化を認めたが, 自覚症状の推移と白血球数の正常化の間には明らかな相関を認めなかった. 治療中とくに合併症を認めなかった.慢性前立腺炎に対し, なぜこの治療が効果があるのかは必ずしも解明されていないが, 一部の症例において効果があることは事実であり, 温熱療法は難治性慢性前立腺炎の新しい治療法となりうる可能性が示唆された.