著者
鈴木 茂之 松原 尚志 松浦 浩久 檀原 徹 岩野 英樹
出版者
一般社団法人 日本地質学会
雑誌
地質学雑誌 (ISSN:00167630)
巻号頁・発行日
vol.115, no.Supplement, pp.S139-S151, 2009 (Released:2012-01-26)
参考文献数
35
被引用文献数
1 4

吉備層群(いわゆる「山砂利層」)は,ほとんど中~大礫サイズの亜円礫からなる,谷埋め成の地層である.時代決定に有効な化石は得られず,更新統とされていたが,稀に挟まれる凝灰岩層を対象とするフィッション・トラック年代測定によって,地層の定義や対比が行えるようになってきた.いくつかの堆積期があることが分かってきたが,岩相では区別しがたく,地層区分は高密度の踏査による地層の追跡が必要である.各層の基底は,地層を構成する礫を運んだ当時の河の谷地形を示す.この復元された古地形は,底からの比高が150m以上に達する深い谷地形である.これは一般的な沈降を続ける堆積盆に形成された地形より,むしろ後背地側の地形である.すなわち吉備層群には,一般的な沈降する堆積盆の地層に対する区分や定義の方法とは異なる,新しい取り組みが必要であり,堆積の要因についても考えなくてはならない.これらは案内者一同を悩ませ続けている課題であり,見学旅行を通じて議論をいただきたい.
著者
尾崎 正紀 松浦 浩久 佐藤 喜男
出版者
一般社団法人 日本地質学会
雑誌
地質学雑誌 (ISSN:00167630)
巻号頁・発行日
vol.102, no.2, pp.73-83, 1996-02-15 (Released:2008-04-11)
参考文献数
52
被引用文献数
11 20
著者
大島 伸一 藤田 民夫 小野 佳成 加藤 範夫 松浦 浩 竹内 宣久 西山 直樹 水谷 一夫
出版者
社団法人日本泌尿器科学会
雑誌
日本泌尿器科学会雑誌 (ISSN:00215287)
巻号頁・発行日
vol.85, no.11, pp.1673-1678, 1994
被引用文献数
2

多発性嚢胞腎疾患症例における腎機能廃絶後の透析期の腎盂腎炎および嚢胞感染, 嚢胞出血等の発生頻度とそれらの治療における腎摘出術の有効性を検討した. 対象は透析をうけている多発性嚢胞腎疾患症例41例で, 男性25例, 女性16例, 平均年齢は55歳, 平均経過観察期間69ヵ月である. 腎盂腎炎および嚢胞感染は13例 (32%) 21回が, 嚢胞出血は13例 (32%) 16回にみられた. ともに保存的治療に反応しない場合やくり返す場合には腎摘出術を行った. それぞれ両側腎摘出術を10例, 片腎摘出術を1例に, また, 両側腎摘出術を5例, 片側腎摘出術を2例に施行した. 手術死は1例にみられた. 不明1例を除く14例の術後平均観察期間70ヵ月であったが, 両側腎摘出術後の無腎状態から生ずる貧血は13例93%に, 低血圧は5例33%にみられた. 以上の結果より維持透析をうけている多発性嚢胞腎疾患では, (1) 腎盂腎炎および嚢胞感染, 嚢胞出血等の合併症が高頻度で生ずること, (2) これらの合併症が腎機能廃絶後では透析と相まって保存的治療では治療困難であること, (3) 貧血や低血圧に対する治療は必要となるものの両側腎摘出術は有効な治療法となりうることが示唆された.
著者
仁井谷 暁子 松浦 浩徳 藤本 亘 河野 匡彦 石原 諭 堀家 英之 佐々木 環 佐々木 慎理
出版者
日本皮膚科学会西部支部
雑誌
西日本皮膚科 = The Nishinihon journal of dermatology (ISSN:03869784)
巻号頁・発行日
vol.70, no.4, pp.387-392, 2008-08-01
参考文献数
13

単純血漿交換法を施行した中毒性表皮壊死剥離症(toxic epidermal necrolysis;TEN)の2例を報告する。症例1:50代の女性。感冒様症状に対し,ルル<SUP>&reg;</SUP>,バファリン<SUP>&reg;</SUP>,アルピニー<SUP>&reg;</SUP>坐薬を使用後発症。症例2:60代の男性。急性心筋梗塞を発症し,治療過程で多剤を使用しており原因薬剤は特定できず。いずれもステロイドパルス療法を施行後も紅斑,表皮剥離が進展し,単純血漿交換法を施行した。2例とも数日以内にびらん面の上皮化が認められたが,症例2は急性心不全により死亡した。TENの発症機序にFas/Fas系を介した表皮角化細胞のapoptosiが提唱されているが,自験例では血漿交換施行前の患者血清中sFasLの上昇が認められなかった。自験例で単純血漿交換法が有効であったことはTENの発症&middot;進展にはsFasL以外にも重要な因子が関与する可能性を示唆している。