著者
萩森 学 尾島 一史 長坂 幸吉 安部 順一朗 亀野 貞
出版者
農業技術研究機構近畿中国四国農業研究センター
雑誌
近畿中国四国農業研究センター研究報告 (ISSN:13471244)
巻号頁・発行日
no.6, pp.113-123, 2007-03
被引用文献数
2

有機物由来成分100%の肥料を用い,施肥畝立て後,夏期に約1カ月の太陽熱利用土壌消毒を行い,その後播種・定植し直ちに0.6mm目合いの防虫ネットでトンネル被覆し,原則として収穫までトンネル被覆を維持し,ヨトウムシ等チョウ目昆虫の害虫が発生した場合はBT剤散布で対処する,キャベツ等アブラナ科野菜の露地栽培体系を構築した。本体系に則ってキャベツ,ハクサイ,ダイコン,カブを栽培し,農薬はBT剤であるゼンターリ顆粒水和剤を2回散布するのみで,可販株率が,キャベツでは96%以上,ハクサイでは84%以上,ダイコンでは約90%,カブでは93%以上という結果を得た。ハクサイでは処理区で対照区に比べべと病発生がやや多かった。処理区では対照区に比べ,雑草の発生と地上部及び地下部の虫害が顕著に抑制された。また処理区では対照区に比べ,供試した4種の作物全てが顕著に旺盛な生育を示した。
著者
浜本 浩 星 岳彦 尾島 一史 山崎 敬亮
出版者
日本生物環境工学会
雑誌
植物環境工学 (ISSN:18802028)
巻号頁・発行日
vol.22, no.2, pp.95-99, 2010-06-01 (Released:2010-06-01)
参考文献数
12

蛍光灯を用いたトマトの群落内補光について, 早朝2時間, 午前中2時間, 日中9~10時間の補光時間帯が収量におよぼす影響の比較を行った. 午前中と日中の補光を日射200μmol m-2s-1 PPF以下の時に限り行う処理も検討した. 補光は早朝よりも, さらに温度の上がる午前中の時間帯の方が増収効果が高くなった. 日中通して補光する処理はさらに増収効果が高かった. しかし, 午前中と日中日射の弱いときのみ補光する処理は, 同じ時間帯を通して補光するより減収となった. 補光時間の短縮には, 収量を落とさない制御アルゴリズムなど, まだ検討の余地があると考えられた. 続いて, 栽培試験の結果をもとに本研究の補光方式の経済性について検討し, 補光時間は2時間の方が9時間よりも費用対効果が高いが, 2時間照射でも, 実用性向上のためには電力や照明器具のコスト低減が必要であることを示した.