- 著者
-
竹下 健二
尾形 剛志
- 出版者
- 日本イオン交換学会
- 雑誌
- 日本イオン交換学会誌 (ISSN:0915860X)
- 巻号頁・発行日
- vol.23, no.1, pp.1-5, 2012 (Released:2012-02-02)
- 参考文献数
- 6
- 被引用文献数
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7
5
原子炉施設内には放射性物質を含む汚染水や汚染海水が大量に蓄積され,その中の Cs 回収にはフェロシアン化鉄(吸着剤)と無機凝集剤を用いた凝集沈殿法とフェロシアン化鉄のシリカ造粒体を用いた吸着法が適用できる。凝集沈殿法では真水・海水のいずれの条件であっても汚染水中の Cs をほぼ完全に(DF~104)回収できた。吸着法では,ゼオライトでは適用が難しい,極微量 Cs(10 ppb 以下)を含む海水から効率的に Cs を回収できた。更に,環境汚染物質の除染技術への応用として下水汚泥からの Cs 回収について検討した。福島市の実下水汚泥(105 Bq/kg)に対して亜臨界水による水熱分解と凝集沈殿を組み合わせた複合プロセスを適用することで,下水汚泥から 96% の Cs を沈殿回収することに成功した。