著者
馬岡 愛 欠田 成人 津田 憲志郎 近藤 誠 東山 文香 水谷 仁 半田 智春 石井 惠玲 村上 拓 吉原 成朗 山中 恵一
出版者
日本皮膚科学会西部支部
雑誌
西日本皮膚科 (ISSN:03869784)
巻号頁・発行日
vol.80, no.2, pp.147-155, 2018-04-01 (Released:2018-07-13)
参考文献数
9

Very strong クラスのステロイド外用剤で治療されているアトピー性皮膚炎(AD)患者を対象に,秋冬および春夏の 2 期間について軟膏基剤製剤から油中水型(以下,W/O 型)乳剤性基剤製剤へ変更後のかゆみスコア(VAS),アトピー性皮膚炎の重症度スコア(SCORAD およびEASI),患者満足度(TSQM-9)およびアドヒアランス(MMAS-8)を評価した。調査対象は秋冬期間(Period 1)34 例,春夏期間(Period 2)22 例であった。試験中止例は 10 例であったが,試験中止例も含め全症例を解析対象とした。VAS,SCORAD および EASI は,両期間で登録時からの有意な低下が認められ,変化量はともに Period 1 と比較して Period 2 が大きかった。患者の治療満足度の評価には TSQM-9 を用いたが,要素である「効果」と「全般満足度」は Period 2 で登録時からの有意な上昇が認められ,変化量はともに Period 1 と比較して Period 2 の方が有意に大きかった。「利便性」には有意差は認められなかった。MMAS-8 は W/O 型製剤投与前後の割合に有意な変化はみられなかった。AD 患者において軟膏基剤製剤から W/O 型乳剤性基剤製剤への変更により,かゆみスコア,患者満足,AD の重症度の改善がみられ,特に春夏期間で顕著であった。
著者
山中 恵一 水谷 仁
出版者
三重大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

アレルギー疾患に対する抗原特異的治療は免疫療法であり、この奏効機序に関してIL-10産生型抑制性T細胞の誘導によるものと証明した。Th1/Th2バランスの是正ではなく炎症を抑制するサイトカインであるIL-10の炎症部位への局所誘導はアレルギー疾患に対する安全かつ効果的な解決法である。本研究ではアレルゲンの負荷により免疫抑制を誘導するIL-10産生の時系列的解析を行いその発現の時空間的把握を行った。
著者
湯田 厚司 石永 一 山中 恵一
出版者
三重大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2010

スギ花粉症の次世代治療に期待される舌下免疫療法を本邦で初めて小児例で検討し、安全性と有効性を確認した。同法は小児でも安全に施行でき、成人よりも効果的であった。本研究の遂行で様々な課題もわかり、特に本法が有効であったスギ花粉症例で、合併するヒノキ花粉症に無効な例が半数近く存在した。治療と同時に作用機序解明に免疫学的変化の検討も行った。治療により、誘導性制御性T細胞の増加、治療有効群でスギ花粉特異的IgG4の増加、治療無効群で血清IL-33の増加が確認できた。血清L-31, IL17Aには変化がなかった。