著者
山内 智貴 中川 慧 南 賢太郎 今城 健太郎
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 第36回 (2022) (ISSN:27587347)
巻号頁・発行日
pp.2J4GS1001, 2022 (Released:2022-07-11)

近年,金融分野における機械学習に基づく定量的予測モデルの開発が活発化している.しかし,機械学習ベースの株価予測モデルは「市場の効率性」と「予測モデルの解釈可能性」の2つの課題により,実用化が困難である.これらの課題に対して,解釈性を担保しつつ短期的に高い予測精度のルールを進化的に実現するTrader-Company(TC)法がある.しかし,TC法はその性質上,市場レジームの急激な変化を考慮しないため,変化によって予測精度が悪化する可能性がある.そこで本研究では,レジームの変化に対する高いロバスト性を実現するため,Multiple-World Trader-Company法を提案する.提案手法では,TC法において単純で解釈可能な予測アルゴリズムであるTraderを管理するCompanyモデルを弱学習器として,レジーム単位で分割した学習データを複数Companyが個別に学習する.実データを用いた実証分析により,提案手法がベースライン手法と比較して良好な予測精度を達成することを示す.
著者
山内 智貴 井手 理菜 菅原 俊治
出版者
The Institute of Electronics, Information and Communication Engineers
雑誌
電子情報通信学会論文誌 D (ISSN:18804535)
巻号頁・発行日
vol.J103-D, no.11, pp.776-787, 2020-11-01

本研究では,不公平を強いられる可能性のある特別乗客(ベビーカーや車椅子,大きな荷物などをもつ乗客)や一般乗客を含む全タイプの乗客にカメラからの情報を利用し,公平な待ち時間と効率的な輸送を実現するためのエレベータ群の配車制御法を提案する.高層ビルではエレベータは垂直輸送の手段として必要不可欠である.建物のエレベータ台数は限られており,効率的な配車制御が必要である.また,エレベータ容量の限度から,多くの占有量が必要な特別乗客は十分な空きのあるエレベータが到着するまで,一般乗客より長時間待たされやすい.一方,近年では環境を観測するカメラや各種センサの普及と画像認識技術の向上により,エレベータホールでの待機人数や荷物の大きさを精度よく推定できる.提案手法は,特定のカゴやホールを監視する複数のエージェントがこれらの情報を収集し,待ち時間の短縮化と公平化を実現する効果的な配車を実現する.シミュレーションを用いて評価実験を行い,提案手法が待ち時間の短縮と公平化を実現し,全乗客の輸送効率を改善できること,更に推定人数の誤差が与える影響を調査する.最後に改善に対する考察と提案手法の限界を議論する.