- 著者
-
今城 健太郎
長谷川 剛
谷口 義明
中野 博隆
- 出版者
- 一般社団法人電子情報通信学会
- 雑誌
- 電子情報通信学会技術研究報告. CQ, コミュニケーションクオリティ (ISSN:09135685)
- 巻号頁・発行日
- vol.110, no.455, pp.93-98, 2011-02-28
- 参考文献数
- 22
現在,数時間以内の降水量の予報は,雨域を観測しその移動を補外する方法によって行われている.これは補外法が,数時間以内の予報においては,物理法則に基づき大気の状態変化を計算を行う方法に比べ,同程度の精度を得るのにかかる計算時間が短いためである.一方,近年多発している都市型水害をもたらす集中豪雨を早期に発見し予報を行うには,現在気象庁が予報に用いている気象レーダーでは解像度および観測頻度ともに十分とは言えない.これに対し,より高解像度かつ高頻度な観測データを得るため,現在の気象レーダーより高性能なレーダーの配備が進んでいる.しかし現在,そのような高性能レーダーを用いた降水量の恒常的な予報は行われていない.そこで本稿では,高性能レーダーの観測結果を用いて分単位の降雨予報を行う手法を提案する.提案手法は複数の時刻の観測データを基に,ブロックマッチングアルゴリズムを用いてオプティカルフローを検出し,それ以後の雨域の予報を行う.評価の結果,気象庁が提供している予報情報であるナウキャストと比較し,5分後から1時間後の以内の予報において,25%以上高い精度が得られることを確認した.