- 著者
-
山内 有信
- 出版者
- 特定非営利活動法人 日本栄養改善学会
- 雑誌
- 栄養学雑誌 (ISSN:00215147)
- 巻号頁・発行日
- vol.80, no.1, pp.51-59, 2022-02-01 (Released:2022-03-12)
- 参考文献数
- 21
【目的】核酸(RNA)高含有玄米発酵抽出物(FBR)の摂取が血糖値の上昇を抑制することについて,ラットを用いた一連の実験によってすでに報告している。しかし,この一連の実験は動物実験であり,摂取させたFBRも多量であった。そこで,本研究では,推定通常摂取量付近の摂取でヒトにおいても同様の効果が期待されるかについて経口糖負荷試験によって確認することを目的とした。【方法】健康な若年日本人25名(男性6名,女性19名)を被験者として,約10%濃度のマルトデキストリン水溶液と 5 gの粉末化した通常玄米(NBR)またはFBRの同時摂取による糖負荷試験を,シングルブラインド・クロスオーバー試験にて実施した。なお,血糖値の測定は,30分間隔で糖負荷後120分間実施した。【結果】糖負荷後の経過時間が影響する血糖値の変化の仕方にFBRとNBRで違いはなかった。しかし,FBRの摂取による血糖値の変化は,NBRに比べて緩やかであった。また,糖負荷後120分間の時間曲線下全面積および血糖上昇曲線下面積を計算して比較した結果,実測値計算と変化率計算のいずれにおいても,FBRの同時摂取時はNBR摂取時に比べて有意な低値を示した。【結論】FBRの摂取は,健康な若年日本人においても食後血糖値の上昇抑制が期待できることが示唆された。