著者
山内 有信 中村 友香 狩谷 標 檜垣 俊介 山城 ミヤ子 稲井 玲子 東元 稔
出版者
鈴峯女子短期大学
雑誌
鈴峯女子短大研究集報. 自然科学篇 (ISSN:03895025)
巻号頁・発行日
vol.40, pp.1-11, 2006-12-20

カテキン類摂取で体脂肪が低減されることが報告されている。しかし,これらの研究は中・壮年層で軽度肥満の者を被験者としているものがほとんどであり,若年層での研究はほとんど見当たらない。そこで,4週間に亘る高濃度茶カテキン飲料の摂取によって体脂肪低減効果が得られるかについて,研究の趣旨を説明して同意を得た健康な女子大学生を被験者として検討を試みた。その結果,BMI,体脂肪量および体脂肪率は有意に低下し,とくに体の部位別の体脂肪率では体幹部が有意に低下した。また,体年齢,ウエスト周囲径も有意に減少し,体重あたりの基礎代謝量は有意に上昇した。これらの結果から,とくに生活習慣病で問題となる腹部脂肪(内臓脂肪)が減少し,生活習慣病予防に対する効果が期待できると考えられた。
著者
八木 遥 山本 義貴 臼窪 一平 中村 友香 下山 あさ子 東 修司 田畑 裕和 稲垣 育宏 小寺 隆二 柴波 明男
出版者
一般社団法人 日本農村医学会
雑誌
日本農村医学会雑誌 (ISSN:04682513)
巻号頁・発行日
vol.68, no.4, pp.490-495, 2019 (Released:2019-12-28)
参考文献数
9
被引用文献数
1

入院患者は睡眠障害を生じる事が多く,睡眠薬の服用が必要となる事例は少なくない。現在わが国で用いられている睡眠薬はベンゾジアゼピン受容体作動薬が多いが,筋弛緩作用や持ち越し効果などから転倒に至る危険性がある。従来の睡眠薬と異なる作用機序を持つオレキシン受容体拮抗薬(ORB)は筋弛緩作用を持たないとされており,安全面に優れていると考えられている。そこで,入院中に内服した睡眠薬の作用機序毎の転倒率を調査した。2017年4月1日~2017年12月31日で当院において転倒・転落があり,ORB,ベンゾジアゼピン系薬(BZD)及び非BZDを服用していた入院患者を対象とした。また,転倒発生前に各薬剤を服用していた患者を群分けし,転倒率を算出し比較した。対象患者のうち調査期間内の睡眠薬全処方人数は1,682人であり,全転倒件数は45件であった。睡眠薬の分類における転倒率は3群のうちORB群による転倒率が1.45%と最も低く,BZD群と比較して有意に低かった事から,ORBは転倒へ与える影響が小さい可能性が示唆された。また,非BZD群の転倒率においてBZD群と比較して有意に低かった事から,転倒予防についても考慮しBZDよりも非BZDを使用する事が望ましいと考えられた。また,転倒事例の患者に高齢者が多かった事から,転倒の危険因子を多数保有している患者が多かったと考えられ,睡眠薬を使用した事で転倒の危険性が増大した可能性がある。
著者
中村 友香 藤澤 憲 中西 裕子 西林 佳人 守谷 安津蓉 小河 理恵子 髙橋 真一郎 亀井 有美 高橋 眞琴 Yuka NAKAMURA Ken FUJISAWA Yuko NAKANISHI Yoshito NISHIBAYASHI Atsuyo MORIYA Rieko OGAWA Shinichiro TAKAHASHI Yumi KAMEI Makoto TAKAHASHI
出版者
鳴門教育大学地域連携センター
雑誌
鳴門教育大学学校教育研究紀要 = Bulletin of Center for Collaboration in Community Naruto University of Education (ISSN:18806864)
巻号頁・発行日
no.35, pp.29-38, 2021-02

新型コロナウイルス感染症(以下,COVID-19)の対応に際して,緊急事態宣言発出後,筆者らが関与する教育関係,福祉関係,医療関係の最前線での実践現場においては,これまでの実践内容にない対応を求められた。本論文では,筆者らが関与している教育関係,福祉関係,医療関係の最前線での実践現場についての現状と課題を把握していくことを目的とした。現状として,実践現場での感染症予防対策以外にも教材作成や労務上の対応が求められており,課題として,児童・生徒,利用者の心のケアや実践者自身のバーンアウトへの対応必要性も示唆された。
著者
中村 友香
出版者
日本文化人類学会
雑誌
文化人類学 (ISSN:13490648)
巻号頁・発行日
vol.83, no.4, pp.515-535, 2019 (Released:2019-05-12)
参考文献数
36

近代医療は地理や経済、政治や文化など様々な地域的状況に結び付いて展開する。ネパールにおける近代医療は、1990年代後半以降、短期間に急速に展開してきた。近代医療は当該地域で暮らす人々にとって欠かせないものになりつつあるが、具体的にどのような地域的特徴を持ちながら展開しているのかについてはこれまでほとんど論じられていない。本稿では、ネパールの近代医療の臨床の場の状況を、病いの語りと南アジアのパーソンをめぐる議論を鍵に明らかにしようと試みる。 これまでの病いの語り研究は、社会装置・権力装置としての近代医療を反省する形で発展してきた。ここでは、個別具体的経験をめぐる個人の語りが重視された。南アジアのパーソンをめぐる議論は、様々な宗教実践や社会実践の事例を通じて、切り離しが困難なつながり合ったパーソンという特徴を示してきた。 本稿はこうした二つの議論を基に、内分泌科クリニックの待合室と診察室におけるやりとりを分析する。それにより、ここでは(1)病いの語りは間身体的関係を持つ家族らにも共有されており、(2)繰り返される語りを通じて、医師をもその関係に取り込もうとしていることを明らかにしていく。