著者
影山 進 上田 朋宏 山内 民男 続 真弘 米瀬 淳二 河合 恒雄 井田 時雄
出版者
泌尿器科紀要刊行会
雑誌
泌尿器科紀要 (ISSN:00181994)
巻号頁・発行日
vol.40, no.11, pp.1021-1025, 1994-11

We present a case report of a relapse to the mediastinal lymph node alone, 38 months after orchiectomy on surveillance for stage I typical seminoma. The patient, a 63-year-old man, was treated with high inguinal orchiectomy for left testicular tumor and close follow-up. After 38 months from the initial treatment, the chest X-ray film and CT scan revealed mediastinal tumor. Fine needle aspiration cytology performed under the bronchoscopy showed seminoma cells. Complete remission was achieved after three courses chemotherapy of cisplatin, vincristine, methotrexate, peplomycin and etoposide (COMPE). He has continued to be clinically disease-free 8 months after completion of the treatment. According to the available data in the literature, 94% of the recurrences was detected within 3 years after orchiectomy, and 92% involved retroperitoneal lymph node metastases. This is a rare case who had a late relapse in the mediastinum alone.
著者
岩城 秀出洙 梶田 洋一郎 清水 洋祐 山内 民男
出版者
社団法人日本泌尿器科学会
雑誌
日本泌尿器科學會雜誌 (ISSN:00215287)
巻号頁・発行日
vol.92, no.5, pp.589-592, 2001-07-20
被引用文献数
4 1

73歳,男性.1999年9月初旬より全身倦怠感と微熱が出現し,当院内科を受診.腹部CTにて左腎下極に3.5cmの腫瘤を認め,ガリウムシンチでの同部の集積像もみられたことから,腎原発悪性リンパ腫の疑いで,1999年11月10日に当科紹介受診となった.検尿所見には異常なく,血液生化学検査ではCRPおよび可溶性インターロイキン2受容体(sIL-2R)の軽度上昇と赤沈の亢進以外には異常所見を認めなかった.腹部MRIで,腫瘤はT1強調画像で等信号,T2強調画像で低信号を示し,血管造影では腫瘍性血管は認めなかった.以上の検査結果から,乏血管性腎細胞癌あるいは腎原発の悪性リンパ腫を疑い,1999年12月20日に左腎摘除術を施行した.腫瘤はゴム様硬,淡黄白色均一,充実性腫瘤で,辺縁は不整であったが周囲との境界は明瞭であった.病理組織学的所見にて腫瘤は形質細胞,小リンパ球,好中球,好酸球の浸潤を伴う線維性の組織から成り,炎症性偽腫瘍と診断された術後経過は良好で2000年1月18日に退院となった.腎に発生した炎症性偽腫瘍は極めて稀で,自験例は内外で15例目である.
著者
大久保 雄平 福井 巌 坂野 祐司 吉村 耕治 前田 浩 米瀬 淳二 山内 民男 河合 恒雄 石川 雄一 山本 智理子
出版者
社団法人日本泌尿器科学会
雑誌
日本泌尿器科學會雜誌 (ISSN:00215287)
巻号頁・発行日
vol.87, no.9, pp.1138-1141, 1996-09-20

44歳,家婦。1年3ヵ月来の肉眼的血尿,排尿困難を主訴に1994年6月初診。経膣的な触診にて膣前壁に柔らかい腫瘤を触れ尿道腫瘍を疑った。尿細胞診では腺癌を疑わせる多数の悪性細胞集塊を認めた。尿道膀胱造影にて尿道憩室を2つ認め,尿道鏡にて尿道括約筋の近位と遠位の2カ所にそれぞれの憩室口を認めた。膣からの圧迫により近位の憩室から表面平滑な小豆大の腫瘍が突出したのでこれを切除したところ,病理学的には低分化型の移行上皮癌が疑われた。尿道憩室癌の診断にて8月9日前方骨盤内臓器全摘術,インディアナパウチ造設術施行。近位憩室内に認められた腫瘍は病理学的に管状,乳頭状および嚢胞状など多彩な腺様構造を呈し,核が上皮細胞の表面に突出した,いわゆるhobnail(鋲くぎ)パターンを認め,mesonerphric adenocarcinomaと診断した。術後,局所に放射線照射を追加し退院。術後1年4ヵ月の現在再発,転移を認めていない。女子尿道mesonephric aenocarcinomaはその組織発生に関していまだ統一された見解はなく,自験例は文献上44例目と思われる。