著者
山口 佳子 高木 史典 山下 健一 清水 肇 前田 英明 外輪 健一郎 草壁 克己 山崎 吉一 諸岡 成治
出版者
The Society of Chemical Engineers, Japan
雑誌
化学工学論文集 (ISSN:0386216X)
巻号頁・発行日
vol.30, no.3, pp.341-345, 2004-05-20

マイクロチャネル内の流体は, その低レイノルズ数のために層流が保たれることが広く知られているが, 屈曲構造を持つマイクロチャネルにおける流体挙動はほとんど明らかにされていなかった. ここでは, ヘアピンカーブ構造を持つマイクロチャネル内の2層流体の流体挙動を掴むために, 共焦点蛍光顕微鏡による流体挙動の3次元的直接観察と, 3次元数値流体力学シミュレーションとを行った. これらの結果, 流速が速い場合, カーブにおける慣性力の影響により2層流の界面は大きくゆがみ, 界面面積の増大を生むことが明らかになった. 界面面積の増大は3倍以上にもなることがあることが示された. 界面面積の増大はそれを通した物質拡散を促進し, 化学反応に影響を与える. このことは, マイクロ流路を化学反応場として利用する際には, 流体挙動および混合挙動を把握した上でチャネル構造の設計および作製を行う必要があることを示唆する.