著者
鈴木 宏哉 山口 利恵
雑誌
研究報告インターネットと運用技術(IOT) (ISSN:21888787)
巻号頁・発行日
vol.2016-IOT-33, no.13, pp.1-8, 2016-05-19

個人認証の重要性の高まりと共に,近年,多要素認証の普及が進んでいる.一方で,複数の認証要素を組み合わせる際の指標となるものが無いため,各サービスに適した認証要素の選択やその適切性の評価が困難という課題もある.そこで,本研究では,既存の様々なサービスを元に,個人認証において必要なセキュリティ要件の洗い出しを行い,その要件項目の整理を行った.整理したセキュリティ要件を指標として用いる事で,様々な認証要素が備えるセキュリティ上の特性の違いを示す事が可能となる.各サービスはそれぞれが求めるセキュリティ要件をこの抽象化した要件項目で定義する事で,必要とする特性を備えた認証要素の組み合わせを検討する事ができる.
著者
高木 浩光 山口 利恵 渡辺 創
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告 = IEICE technical report : 信学技報 (ISSN:00221260)
巻号頁・発行日
vol.59, no.3, pp.171-184, 2013
被引用文献数
14

日本政府は、「社会保障と税の番号制度」の創設を進めており、法整備に続いて、番号連携機能を備えた「情報連携基盤」の構築を計画している。本稿執筆時点で「情報連携基盤」の技術設計は案が公表されているものの未決定の段階であり、設計案に対しては「符号の存在意義が不明確」といった指摘もある。本稿では、「情報連携基盤」の番号連携機能の技術方式について再検討し、従来方式より合理的な設計の別案を提案し、プライバシー保護と情報セキュリティ技術の観点から従来方式と比較検討する。
著者
鈴木 宏哉 山口 利恵
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.58, no.9, pp.1501-1512, 2017-09-15

近年,スマートフォンに代表されるモバイル端末の普及により,利用者は場所を問わず,常時様々なサービスを享受することができるようになっている.一方で,モバイル端末と利用者行動との密接な結び付きから,プライバシ問題に注目が集まっている.特に,通信に端末固有のMACアドレスが含まれるWi-Fi無線通信は,利用者の追跡や位置情報の暴露といったプライバシ上の危険性を有している.本稿では,モバイル端末が収集した周辺のアクセスポイントのMACアドレス情報に着目し,アクセスポイント機器のベンダー構成比から,位置情報データベースなしでも居場所推定に有用な情報が得られることを示した.本稿では,16名の被験者から30日分ずつ収集した周辺アクセスポイントのMACアドレスデータを用い,在宅中や就業,就学中の時間帯におけるベンダー構成に有意に異なる相関比が得られることを実験により確認した.