著者
高木 浩光 山口 利恵 渡辺 創
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告 = IEICE technical report : 信学技報 (ISSN:00221260)
巻号頁・発行日
vol.59, no.3, pp.171-184, 2013
被引用文献数
14

日本政府は、「社会保障と税の番号制度」の創設を進めており、法整備に続いて、番号連携機能を備えた「情報連携基盤」の構築を計画している。本稿執筆時点で「情報連携基盤」の技術設計は案が公表されているものの未決定の段階であり、設計案に対しては「符号の存在意義が不明確」といった指摘もある。本稿では、「情報連携基盤」の番号連携機能の技術方式について再検討し、従来方式より合理的な設計の別案を提案し、プライバシー保護と情報セキュリティ技術の観点から従来方式と比較検討する。
著者
三浦 信冶 大西 重行 渡辺 創 嵩 忠雄
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. ISEC, 情報セキュリティ
巻号頁・発行日
vol.97, no.252, pp.75-85, 1997-09-12
被引用文献数
2

コンピュータネットワークを通じて入手できるディジタルデータの中には有料のものなど, データのコピーが制限されているものが存在する. しかしユーザに配布されたディジタルデータは容易にコピーすることが可能である. 現在, 不正コピーの対策として電子透かしの技術を利用した様々な手法が提案されている. ただしそれらの手法ではサーバの不正行為により無実のユーザに罪を着せることが可能である. 解決案として配布時にサーバだけでなくユーザも電子透かし法に参加することでサーバの不正防止を考えた手法が提案されたが, 不正者を特定できない場合が存在するという欠点を持っていた. 本論文ではサーバの役割を分散させることでこの問題を解決し, 最小限の通信量でサーバやユーザの不正行為を特定可能な手法を提案する.
著者
渡辺 創 ATTRAPADUNG Nuttapong
出版者
独立行政法人産業技術総合研究所
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2006

本研究の目的は、今後、来たるユビキタス時代においても、高い安全性を持つ高機能的な暗号方式を提案することである。具体的に「汎用的結合可能性を持つ高機能な公開鍵暗号」を提案することにある。本研究では、安全性の理論的な定義を探ることから始め、具体的な構成方法を提案し、その実装も行い、現在利用されている暗号プロトコルとの比較を理論面、実験面から行う。結果としては、次のように述べられる。1.「放送型暗号」と「追跡可能機能」の組み合わせ方式を提案し、その安全性を理論的に証明した。この提案方式の応用例の一つとして、次世代DVDシステムのコンテンツ保護が考えられる。具体的には、ある次世代DVDデコーダー(再生機)の秘密鍵が漏洩し、新しいパイレーツデコーダー(海賊版再生機)がその鍵を用いて作られた状況においても、もし、このパイレーツデコーダーが一つでも発見されれば、「追跡可能機能」によってどの鍵から作られたかを判断することができ、「放送型暗号」の機能でその鍵を無効化することが可能となる。このような研究は近年さまざまな研究者によって提案されているが、今回の提案方式が理論的にもっとも効率の良いものとなっている(平成20年4月現在)。この結果は「Fully Collusion Resistant Black-Box Traitor Revocable Broadcast Encryption with Short Private Keys」という題名の論文で、国際学術研究集会「International Colloquium on Automata, Languages and Programming(ICALP2007)」で発表を行った。この研究はNECの古川潤博士との共同研究である。2.「放送型暗号」と「属性に基づく公開鍵暗号」を組み合わせた方式である「Broadcast-Conjunctive Attribute-based Encryption」の概念と理論的な安全性を定義し、具体的な構成方法を提案し、その構成方法の安全性も理論的に証明した。「属性に基づく公開鍵暗号」は属性情報による柔軟なアクセス制限を定義できる公開鍵暗号で、暗号化された共有データベースや、柔軟なアクセス制御機構をもつコンテンツ配信など、幅広い応用が考えられる。しかしこれまでは、本プリミティブにおいて漏洩した鍵を無効化できる技術が提案されていなかった。今回の提案方式はまさにこの問題を解決する技術である。この結果は「Broadcast-Conjunctive Attribute-based Encryption」という論文で、国内学会の「2008年暗号と情報セキュリティシンポジウム(SCIS2008)」で発表を行った。現在は国際会議と国際誌に投稿の準備をしている段階である。採用期間中のその他の結果は「Efficient Identity-Based Encryption with Tight Security Reduction」という論文が「IEICE Transactions90-A(9)」という英文論文誌に採録された。
著者
中西 透 渡辺 創 藤原 融 嵩 忠雄
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. ISEC, 情報セキュリティ
巻号頁・発行日
vol.94, no.56, pp.19-26, 1994-05-20
被引用文献数
1

入札プロトコルでは,応札者とその応札価格の対応関係が他人に知られないという意味で,匿名性をもつことが望ましい.しかし,これまでに提案された匿名入札プロトコルでは,結託により匿名性が破られたり,落札価格が決定したときにその価格で応札した者が名乗りでない場合,落札者を発見できなくなり公平さが損なわれるなどの問題点がある.本稿では,このような問題を解消した否認不可電子匿名入札プロトコルを提案する.否認不可署名方式の一つについて,署名だけでは誰が署名したか他人に解らないという性質があることを示し,それをもとに入札プロトコルを構成する.
著者
宮地 充子 近澤 武 竜田 敏男 渡辺 創 大熊 建司
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. ISEC, 情報セキュリティ (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.107, no.140, pp.159-169, 2007-07-12
被引用文献数
6

情報社会の進展に伴い,安全な社会システムの構築が産官学において進められている.情報セキュリティ技術の国際標準化活動は,安全な社会システムの構築にとって重要な役割をもつ.ISO/IEC JTC 1/SC 27/WG 2では,情報セキュリティのアルゴリズム及びプロトコルに関する国際標準化規格の策定を進めている.本報告書は,現在,ISO/IEC JTC 1/SC 27/WG 2で審議事項を解説すると共に,特に今年の5月に行われたロシア会議に関して報告する.