著者
小川 聡 山口 和重 夏山 謙次 西田 育功
出版者
公益財団法人 日本心臓財団
雑誌
心臓 (ISSN:05864488)
巻号頁・発行日
vol.51, no.5, pp.536-542, 2019-05-15 (Released:2020-05-27)
参考文献数
10

症例は55歳男性.頻発する単源性心室期外収縮(PVC)と心エコー図で左心機能低下と左室拡大を認め,頻発性PVCに対するカテーテルアブレーション目的で入院した.12誘導心電図は左脚ブロックパターン 下方軸 移行帯はV4で,右室流出路(RVOT)起源のPVCと診断された.右室内のmappingでは早期性および良好なpace mapが得られず,右冠尖(RCC)のmappingでPVCのonsetから22 msec先行するprepotentialを認め,同部位の通電によりPVCの完全消失に至った.12誘導心電図はRVOT起源のPVCと予測されたが,本例はRCC起源のPVCであった.12誘導心電図によるPVCの局在診断の文献は散見されるが,RVOT起源PVCとRCC起源PVCの鑑別が困難な場合がある.RVOT起源と考えられるPVCであっても,先行するpotentialが同定できない場合は,すみやかにRCC内のmappingを行いprepotentialを同定する必要性がある症例を経験したため報告する.
著者
町田 暢 山口 和重 御子柴 公人
出版者
日本育種学会
雑誌
育種學雜誌 (ISSN:05363683)
巻号頁・発行日
vol.12, no.1, pp.28-32, 1962-03-25

大麦の凍霜害の機構を明らかにするために,大小麦の圃場において,地表面,地上3cm,15cm,50?,1m1.5mの気温および葉温,室温について,午前1時から8時までの変化を調査したg(1)気温の垂直分布は地上15cmが終始もっとも低かった。(2)葉温は室温に比較して,夜間は低く,日の出後は高く,草上気温は常にその中間であった。また,葉温は測点中最低であった。(3)葉面の結霜経過は,始めに,露がつき,やがてそれが凍って凍露となり,さらに進むと,そこから霜が生長し,それに伴なって葉色が変ったbそして,結霜度には著しい品種間差異を認め,皿型大麦に多く,渦型大麦に少なかった。
著者
町田 暢 御子柴 公人 山口 和重
出版者
日本育種学会
雑誌
育種學雜誌 (ISSN:05363683)
巻号頁・発行日
vol.11, no.4, pp.307-313, 1961-12-25

大麦の凍霜害低抗性の品種間差異を明らかにしようとして,耐寒性の強いコウゲンムギと弱いみすず大麦を供試し,その生育各期に一5℃の低温定温器で6時間処理して,低温障害の差異を調査した。(1)低温による障害は著しく,生育を遅延させた。また,収量に影響甚しい時期は伸長期から穂孕期であった。(2)茎葉に及ぼす障害の程度は耐寒性の強いコウゲンムギに甚しく,弱いみすず大麦は軽微であった。(3)幼穂の凍死は幼穂長と関係し,幼穂長が6mm以上になると凍死するもの多く,5mm以下では少たかった。これはまた,桿長と密接に関係し,桿長が長く,幼穂が地表に現われやすくたるほど凍死率は高くたった。しかし,幼穂そのものの凍霜害低抗性の品種間差異は認めることができたかった。(4)凍霜害による幼穂の生死の判別にはLUYET氏溶液による染色が有効であることが明らかにされ,それによれば,幼穂の凍死には,(i)幼穂そのものが凍死する場合(ii)幼穂に続く幼桿数節が凍死し,二次的に幼穂も枯死する場合(iii)両者が凍死する場合以上の三段階のあることが判明した。