著者
福田 有希子 高月 誠司 三田村 秀雄 大橋 成孝 家田 真樹 三好 俊一郎 小川 聡 坂本 宗久 茅野 眞男 鈴木 亮 佐藤 千恵 黒島 義明 菊野 隆明
出版者
公益財団法人 日本心臓財団
雑誌
心臓 (ISSN:05864488)
巻号頁・発行日
vol.36, no.Supplement3, pp.18-23, 2004-07-30 (Released:2013-05-24)
参考文献数
2

症例は35歳の男性.失神,突然死の家族歴はない.平成15年4月1日午前9時3分頃,通勤途中の電車内で,突然意識消失.駅員が午前9時7分救急隊を要請した.モニター上心室細動(VF)で,救急隊により午前9時15分電気ショックを施行,午前9時24分再度VFとなり,2回めの電気ショックを施行した.その後洞調律を維持し,午前9時45分他院救急救命センターに搬送された.到着時意識レベルは,昏睡状態,JCS300,血圧135/82mmHg,心拍数116/min,洞性頻脈で,瞳孔は3mm大,対光反射を認めず,脳保護のため低体温療法を開始した.復温とともに意識状態は回復し,神経学的にも後遺症を認めなかった.心臓超音波検査,冠動脈造影,アセチルコリン負荷検査を行ったが,異常所見は得られず,当院へ紹介入院した.トレッドミル運動負荷試験,pilsicainide負荷試験では異常所見を認めなかった.6月10日に行った心臓電気生理検査で,Baselineでは不整脈は誘発されなかったが,isoproterenol負荷後の右室期外刺激(400/200ms)で,VFが誘発され,特発性VFと診断し,ICD(植え込み型除細動器)を挿入した.本症例は,医師の指示なく,救急救命士の判断で行った電気的除細動によって一命をとりとめ,さらに社会復帰し得た本邦第1例目の症例であった.
著者
小川 聡 山口 和重 夏山 謙次 西田 育功
出版者
公益財団法人 日本心臓財団
雑誌
心臓 (ISSN:05864488)
巻号頁・発行日
vol.51, no.5, pp.536-542, 2019-05-15 (Released:2020-05-27)
参考文献数
10

症例は55歳男性.頻発する単源性心室期外収縮(PVC)と心エコー図で左心機能低下と左室拡大を認め,頻発性PVCに対するカテーテルアブレーション目的で入院した.12誘導心電図は左脚ブロックパターン 下方軸 移行帯はV4で,右室流出路(RVOT)起源のPVCと診断された.右室内のmappingでは早期性および良好なpace mapが得られず,右冠尖(RCC)のmappingでPVCのonsetから22 msec先行するprepotentialを認め,同部位の通電によりPVCの完全消失に至った.12誘導心電図はRVOT起源のPVCと予測されたが,本例はRCC起源のPVCであった.12誘導心電図によるPVCの局在診断の文献は散見されるが,RVOT起源PVCとRCC起源PVCの鑑別が困難な場合がある.RVOT起源と考えられるPVCであっても,先行するpotentialが同定できない場合は,すみやかにRCC内のmappingを行いprepotentialを同定する必要性がある症例を経験したため報告する.
著者
小川 聡
出版者
公益財団法人 日本心臓財団
雑誌
心臓 (ISSN:05864488)
巻号頁・発行日
vol.50, no.2, pp.112-118, 2018-02-15 (Released:2019-04-01)
参考文献数
18
著者
五十嵐 良典 片桐 耕吾 岸 秀幸 長谷川 毅 小川 聡 星 一 大橋 茂樹 吉岡 秀樹 高田 洋孝 福本 学 前谷 容 酒井 義浩
出版者
一般社団法人 日本消化器内視鏡学会
雑誌
日本消化器内視鏡学会雑誌 (ISSN:03871207)
巻号頁・発行日
vol.34, no.2, pp.380-384_1, 1992

1990年1月より1991年4月までに経十二指腸的に截石した総胆管結石18例に親子式経口胆道鏡を行った.15例に胆嚢管内に挿入しえた.そのうちの3例は胆嚢頸部まで挿入しえた.螺旋部へは13例,平滑部へは全例挿入しえた.良好な内視鏡像のえられた12例で胆嚢管粘膜像を検討したところ,粘膜血管透見像は螺旋部まで挿入しえた10例全例に,平滑部に挿入しえた12例全例に認められたが,粘膜血管拡張像の合併を螺旋部で4例に,粘膜の凹凸像を螺旋部で2例に認めた.メチレンブルーによる色素法を4例に行い,粘膜模様について観察した.通常観察で平滑とした3例のうち2例は粘膜模様は均一であったが,1例は不均一であった.凹凸を認めた1例も粘膜模様は不均一であった.不均一部からの生検組織像は軽度の慢性炎症性変化であった.
著者
小川 聡子 名田部 明子 中野 彩 鈴木 知子 倉林 志保 石野 啓子 岡村 紀宏 野口 百香 牧角 寛郎 丸山 泉
出版者
医学書院
巻号頁・発行日
pp.348-351, 2021-04-01

公益社団法人全日本病院協会(以下,全日病)は,2013年に「全日本病院協会プライマリ・ケア宣言2013」を発表した.少子高齢化が進む社会で,病院医療におけるプライマリ・ケアの重要性を認識し,新たな行動目標として「在宅医療,在宅介護対応,認知症対応へ積極的に取り組むこと」を宣言したのである.この宣言の下,プライマリ・ケア委員会を立ち上げ,「病院医療ソーシャルワーカー研修会」(2014年から),「認知症研修会」(2014年から),「総合医育成プログラム研修」(2018年から)を主催している. 「病院医療ソーシャルワーカー研修会」(以下,本研修会)は,日本医療社会福祉協会と協働して年2回開催し,1回目は病院医療ソーシャルワーカー(以下,病院MSW)対象,2回目は同じ施設からMSWと多職種の同時参加を原則としている.全国から医療機関に勤める多職種が一堂に会し,MSWだけではなく,病院経営者,多職種も共に学び,前進してきた7年間であった.
著者
山本 譲 粟屋 敏雄 小城 香緒里 森田 真樹子 川守田 早紀 神崎 郁代 小川 聡 板垣 祐一 大滝 康一 山本 久仁子 田﨑 嘉一 松原 和夫
出版者
一般社団法人日本医療薬学会
雑誌
医療薬学 (ISSN:1346342X)
巻号頁・発行日
vol.38, no.1, pp.34-42, 2012-01-10 (Released:2013-01-10)
参考文献数
10
被引用文献数
3 2

Shortage of physicians is a serious social issue in Japan. It has become an urgent challenge to support busy physicians. While the number of anesthetists is remarkably insufficient, the number of operations has increased in many hospitals after Diagnosis Procedure Combination (DPC) is implemented. Drugs used in operation rooms include many narcotic analgesic and poisonous drugs, which medical staff are required to strictly control. From the viewpoint of medical safety management, pharmacists should be involved in the management of these drugs. We have started preparation of injections in the operation rooms aiming mainly at supporting anesthetists. Pharmacists make up the anesthetic sets according to anesthetists' order by the evening of the previous day. The pharmacists carry the sets from the pharmacy to the operation room on a wagon. On the early morning of the operation day, two pharmacists mix the injection drugs, fill the syringes, attach the labels, assemble the routes, and check the completed sets in each operating room according to the list. All pharmacists in our pharmacy department engage in this service. We have conducted opinion surveys of pharmacists and anesthetists on this service. Although the workload of pharmacists increased, most pharmacists thought it was worthwhile. Most anesthetists evaluated that this service has improved medical safety. However, there were many requests that the pharmacists should be further involved throughout the entire operation. It is important to support physicians with services such as this by the pharmacist based on pharmaceutical knowledge. This service has a beneficial impact on healthcare professionals.
著者
土山 真司 鷲尾 健 高砂 恵美 正木 太郎 福永 淳 小川 聡 斉藤 雅也 矢野 嘉彦 錦織 千佳子
出版者
日本皮膚科学会大阪地方会・日本皮膚科学会京滋地方会
雑誌
皮膚の科学 (ISSN:13471813)
巻号頁・発行日
vol.15, no.2, pp.51-56, 2016 (Released:2016-06-02)
参考文献数
13

40歳代,女性。幼少時期よりアトピー性皮膚炎と診断され加療を受けてきたが,最近では治療を自己中断していた。2015年春頃より全身のそう痒が増悪したため近医より当科に紹介受診となり,精査加療目的に入院した。季節の変わり目に皮疹が悪化するとの訴えがあり,うつ熱症状もあったため発汗機能異常を疑い全身温熱発汗テストを施行したところ顔面や体幹部の発汗低下を認めた。齲歯も複数あり,外分泌腺機能低下を疑い精査を進めたところ,抗 SS-A,SS-B 抗体陽性であり小唾液腺の導管に多数の細胞浸潤を認めシェーグレン症候群との診断に至った。アトピー性皮膚炎に対して外用治療を開始したところ,皮膚所見や好酸球の減少とは逆に肝逸脱酵素の数値が上昇した。シェーグレン症候群合併例のため,他の自己免疫疾患の併発についても精査したところ原発性胆汁性肝硬変が判明した。アトピー性皮膚炎では一般的に発汗機能異常が認められるが,発汗低下が著明な場合はシェーグレン症候群の合併も考慮に入れる必要があると考えられた。またアトピー性皮膚炎治療中に原発性胆汁性肝硬変に関連した肝逸脱酵素の数値が上昇した原因につき,Th1/Th2/Th17 バランスを含めて考察した。(皮膚の科学,15: 51-56, 2016)
著者
茅野 真男 薄葉 文彦 池川 徹 戸山 雅子 小川 聡 半田 俊之介 中村 芳郎
出版者
The Japanese Society of Electrocardiology
雑誌
心電図 (ISSN:02851660)
巻号頁・発行日
vol.6, no.2, pp.183-190, 1986

失神26例を, 失神時心電図所見により, 持続性心室頻拍 (SVT) 8例, 非持続性心室頻拍 (NSVT) 5例, 心室細動 (VF) 5例, 心電図記録なし (syncope) 8例の4群に分け, programmed ventricular stimulation (PVS) を施行した.対象例の基礎心疾患は, 虚血性心疾患10例, 心筋症7例, 基礎心疾患なし5例, その他4例である.VT誘発は, 右室の2カ所で, 2連発早期刺激法を用いた.その結果, 9例でinduced SVT, 8例でinduced NSVTが誘発された.各群でのinduced VT (SVT+NSVT) の誘発率はSVT100%, NSVT60%, VF60%, syncope38%, induced SVTのみの誘発率はSVT75%, NSVT20%, VF40%, syncope 0%であった.失神時と誘発時で12誘導心電図上VT波形を比較しえたSVTの4例全例とも, QRS波形は一致した.induced SVTの停止に, 4例でDC shockを要したが死亡はなかった.PVS法は, VT, VF, 失神時心電図のない例において, 発作の原因推定に有用な方法と思われる.