著者
山口 明美
出版者
鹿児島純心女子大学
雑誌
鹿児島純心女子大学看護栄養学部紀要 (ISSN:13421468)
巻号頁・発行日
vol.12, pp.8-18, 2008

衣類の洗浄の基本は"もとにもどす"ことである。長い年月を経て洗浄力を高めるための研究がなされ,洗濯機,洗剤はより優れたものが登場し,洗濯は容易になったかのように思われる。しかし,汚れの成分によっては洗浄効果があらわれないこともある。その一つとして鹿児島地区では馴染みの固体粒子である火山灰と油脂成分である皮脂汚れとの混合汚れを想定し,家庭洗濯における固体粒子である火山灰と油脂汚れの個々の成分の洗浄されやすさを検討することを目的とした。8種の皮脂成分と火山灰を用いて作製した人工汚染布を,6種の洗剤を用い,洗浴温度,洗浴硬度を変えてターゴトメータで洗浄し洗浄性を評価した。その結果,洗浄力に最も影響を与えるのは硬度であることがわかった。繊維と洗剤との関係において,洗浄力の評価に石けん,合成洗剤の違いよりむしろ繊維基質に起因することもわかった。また,皮脂成分の中では,コレステリンステアレート,トリオレイン,スクアレンは除去されにくいことがわかった。
著者
山口 明美
出版者
鹿児島純心女子大学
雑誌
鹿児島純心女子大学看護栄養学部紀要 (ISSN:13421468)
巻号頁・発行日
vol.12, pp.19-26, 2008

第一報において,火山灰と皮脂汚れとの混合汚れの洗浄において,硬度の影響が大きいことが認められたことを報告した。ここでは,硬度成分と考えられる火山灰中の各元素を含む鉱物が洗浄に及ぼす影響と鉱物の変化と洗浄の関係,さらに商業洗濯における再汚染の有無を明らかにすることを目的とした。原子吸光法による火山灰の分析の結果,ケイ素,アルミニウム,鉄,マンガンの順に鉱物は多く含有されていることがわかった。この鉱物の中で,アルミニウムが最も繊維に付着しやすく,洗浄効率が低いことがわかった。マンガンの含有量は少ないが,付着すると非常に落ちにくい物質であることもわかった。白布添付による方法で再汚染試験を試みた結果,ドライクリーニングにおける再汚染はほとんどないことが明らかになった。
著者
冨永 伸明 山口 明美
出版者
有明工業高等専門学校
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2013-04-01

本研究では,内分泌かく乱物質であるBisA曝露を多世代にわたって行った線虫受精卵のヒストンH3のメチル化およびアセチル化修飾状況を定量的に解析することに成功した.線虫は,BisA曝露で経世代的に産卵数が減少することを報告しているが,本研究の結果から,その際に受精卵中の細胞において特異的なヒストンH3Lys4のジメチル化修飾体,Lys9のアセチル化修飾体が減少していることが分かった.このことは,内分泌かく乱物質の経世代的な影響はエピジェネティックな修飾として次世代の受精卵に受け継がれる可能性が高いことを示すものである.