著者
荒木 崇 遠藤 求 山口 礼子
出版者
京都大学
雑誌
特定領域研究
巻号頁・発行日
2007

フロリゲン(花成ホルモン)の実体がFTタンパク質であること、輸送される主要な形態は蛋白質であってmRNAではないことを明らかにした。FTタンパク質の長距離作用能と輸送能において重要なアミノ酸残基を見いだし、輸送とその調節機構を解明するための糸口を得た。FTタンパク質のパートナーであるFD蛋白質のリン酸化を実証し、14-3-3タンパク質を介した複合体形成に必須であることを示した。フロリゲンの新たな役割として、側芽分化と側枝伸長の調節を見いだし、BRC1タンパク質が側芽・側枝におけるフロリゲン複合体の活性調節因子であることを明らかにした。
著者
橋本 良二 山口 礼子 佐藤 典生
出版者
一般社団法人日本森林学会
雑誌
日本林學會誌 (ISSN:0021485X)
巻号頁・発行日
vol.81, no.3, pp.169-177, 1999-08-16

岩手県鴬宿地方のミズナラ-ヒバ林におけるヒバ稚樹の伏条繁殖クランプの出現状態とその更新パターンについて, アイソザイム変異をもとに検討した。変異分析は5酵素種6遺伝子座によりなされ, 全サンプルを通じて66種類のMLG(multilocうs genotype)を得た。尾根部の稚樹のMLGグループでは, 同一MLGの稚樹がランダム分布するグループと集中分布するグループがあった。斜面部では, 同一MLGの稚樹が集中分布するグループがほとんどすべてであり, 伏条繁殖クランプが分布の単位になっていると考えた。斜面部の立木についても, 同一MLGの立木が数本ずつまとまって分布するグループが多かった。しかし, 同一MLGの立木と稚樹との間には, 明らかな分布重なり合いは認められなかった。これらの結果から, 斜面部林分でのヒバの更新には伏条繁殖クランプが大きく関与したことは明らかで, 更新過程ではクランプ内のごく小数の稚樹が立木へと成長し残りはすべて枯死するパターンが多かったと考えた。