著者
大江 朋子 高田 剛志 小川 充洋 古徳 純一
出版者
帝京大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2022-04-01

人は自らの身体と環境の状態を監視し,その時々で処理した情報を瞬時に統合させている。この情報統合において身体や環境の温度が社会的反応を導く可能性や,それに体温調節システムが関与している可能性はすでに論じられてきたものの,体温調節システムが社会的反応に影響するかは直接検討されないままであった。本研究では,身体の深部温や皮膚表面温の測定によりこれを可能にするとともに,温度情報が統合される過程で情報処理モード(攻撃と親和)の切り替えが生じるとするモデルを提案し,唾液中ホルモン(テストステロン,オキシトシン)などの生理的反応の測定とVR(virtual reality)技術を用いた実験を通してモデルの実証を試みる。
著者
波多野 浩士 佐藤 元孝 辻本 裕一 高田 剛 本多 正人 松宮 清美 水谷 哲 藤岡 秀樹
出版者
泌尿器科紀要刊行会
雑誌
泌尿器科紀要 (ISSN:00181994)
巻号頁・発行日
vol.52, no.8, pp.641-644, 2006-08

79歳男.前立腺肥大症と診断され,内服治療を行ったが,排尿悪化に伴い経尿道的前立腺切除術(TURP)を椎麻酔下で施行した.術後の著明な出血により術後7日目に尿道カテーテルを抜去したが39~40℃の発熱が持続し,E.cloacae,MRSAの検出をみた.9日目より腰痛を自覚しMRIでL4~5椎間腔の狭小化を認め,腰痛症又は腰椎ヘルニアを疑うが脊椎炎の所見は認めなかった.imipenem(IPM),teicoplanin(TEIC)を2週間CRPは陰性化しなかったが解熱,WBC低下と血液・尿培養の陰性化を受け,galifloxacin(GFLX)に変更したが再び発熱とWBC,CRPが上昇し,腰痛悪化で歩行困難となった.Gaシンチ施行により術後39日目に化膿性背椎炎と診断し,E.cloacaeが検出された.3週間治療内服後CRPの陰性化,腰痛は軽減し歩行可能となり術後6ヵ月目に退院したWe report a case of pyogenic spondylitis caused by Enterobacter cloacae as a rare complication of transurethral resection of the prostate (TURP). A 79-year-old man underwent TURP. Immediate after removal of urethral catheter on postoperative day (POD) 7, he developed high fever > 40 degrees C with increased acute inflammatory reaction. Urine and blood culture detected E. cloacae and methicillin-resistant Staplylococcus aureus. He complained of lumbago since POD 9. Two-week administration of imipenem and teicoplanin resulted in resolution of fever as well as laboratory data, so intravenous antibiotics were changed to oral gatifloxacin. However, his lumbago worsened and gait disturbance appeared. On POD 39, diagnosis of pyogenic spondylitis was finally obtained by Ga-scintigraphy and magnetic resonance imaging. Aspiration of the intervertebral disk (L4-5) revealed E. cloacae as the causative organism of pyogenic spondylitis. His condition improved after conservative treatment with teicoplanin, meropenem and ciplofloxacin for 9 weeks.
著者
辻本 裕一 藤田 昌弘 波多野 浩士 新井 康之 高田 剛 高田 晋吾 本多 正人 松宮 清美 藤岡 秀樹 布施 貴司 山吉 滋 安藤 正憲 西田 義記
出版者
泌尿器科紀要刊行会
雑誌
泌尿器科紀要 (ISSN:00181994)
巻号頁・発行日
vol.54, no.6, pp.407-410, 2008-06

12歳男。自転車走行中にバイクと接触し, 左側腹部痛を来たした。検査所見で白血球増加, 貧血, LDH・CK上昇を, CTで左腎上極の断裂と周囲の血腫形成を認めた。血管造影を施行し, 左腎上極へ分枝した動脈からの出血を認め, コイルによる選択的動脈塞栓術(TAE)を行った。しかし受傷後2日目に左側腹部痛増強と肉眼的血尿が出現し, 血管造影で同じ動脈からの出血を認め, 再度TAEを行った。受傷4日目も炎症所見と発熱が続き, 貧血が進行したためCTを施行した。血腫は縮小傾向であったが, 左上断裂腎からの尿漏を認め, 感染症の併発を考えて断裂腎に対するTAEを試みた。左腎上極へ分枝した動脈をスポンジセルを用いて塞栓したところ, 徐々に解熱, 炎症反応改善が得られ, 23日目のCTでは血腫縮小傾向を認めた。受傷5ヵ月目のCTでは断裂腎は萎縮し残存していたが造影効果は認めず, 血腫は完全に吸収され, 残存腎の機能は十分に温存されていた。尿漏や水腎症などもなく経過順調である。
著者
高田 剛 湊 のり子 山口 唯一郎 古賀 実 菅尾 英木
出版者
日本泌尿器内視鏡学会
雑誌
Japanese Journal of Endourology (ISSN:21861889)
巻号頁・発行日
vol.25, no.2, pp.356-361, 2012 (Released:2014-02-07)
参考文献数
21

尿管癌に対する外科的治療は一般的に腎尿管全摘が標準術式とされる.その中でlow stage・low gradeの尿管癌に限り内視鏡的切除が推奨され,EAUガイドライン2012 ver.1における推奨グレードはBである.今回われわれは硬性鏡を用いた経尿道的尿管腫瘍切除および尿管ステント留置術後ピラルビシン膀胱内注入併用療法を実施した低異型度非浸潤性尿管癌3例について報告する.ピラルビシン40 mg/回を週1回で6-8回注入した.3例のうち1例がelective caseであり2例がimperative caseであった.経尿道的尿管腫瘍切除における病理結果はいずれもNon-invasive papillary urothelial carcinoma, low grade(G1>G2),pTa-1であった.結果1例(症例3)において治療後23ヶ月目に膀胱再発を認めたが,全例治療後それぞれ43,32,28ヶ月を経過した現在患側尿管再発なく生存している.本治療法は比較的侵襲が低く,癌再発を予防し,さらには腎機能障害を有する患者に対する血液透析導入を回避可能とする治療法かもしれない.