著者
中村 正広 野々村 祝夫 並木 幹夫 奥山 明彦 高 栄哲 近藤 宣幸 竹山 政美 清原 久和 藤岡 秀樹
出版者
一般社団法人 日本泌尿器科学会
雑誌
日本泌尿器科学会雑誌 (ISSN:00215287)
巻号頁・発行日
vol.80, no.9, pp.1362-1366, 1989-09-20 (Released:2010-07-23)
参考文献数
23
被引用文献数
1

ヒト精巣におけるDNA合成, RNA合成, 蛋白合成の至適温度を検討するために, 培養ヒト精巣組織への3H-チミジン, 14C-ウリジン, 14C-ロイシンの取り込みを28℃~43℃の温度条件で観察した. その結果, RNA合成, 蛋白合成は温度依存性に増加し, 37~40℃で最大になると考えられたが, DNA合成は31℃で最大となり, 微妙な温度感受性を示すと判断された. 従って, 精巣温度上昇による造精障害の根本原因の1つとして精巣DNA合成の障害が推察された.
著者
藤岡 秀樹
出版者
京都教育大学附属教育実践総合センター
雑誌
教育実践研究紀要 (ISSN:13464604)
巻号頁・発行日
vol.10, pp.183-192, 2010-03

最初に,学校心理学の特徴について, ①隣接領域との異同, ②3つの援助サービス, ③4つの援助領域-の3点を論じた。次に,心理教育的援助サービスの技法とチーム援助について具体例を挙げて紹介した。そして,予防的・開発的教育相談及び予防的・開発的生徒指導について,各々治療的教育相談と治療的生徒指導と対比させて論じた。最後に,最近の文部科学省の教育相談や生徒指導の取り組みを紹介しながら,学校心理士と臨床心理士とスクールソーシャルワーカーとの協働・連携について考察した。
著者
波多野 浩士 佐藤 元孝 辻本 裕一 高田 剛 本多 正人 松宮 清美 水谷 哲 藤岡 秀樹
出版者
泌尿器科紀要刊行会
雑誌
泌尿器科紀要 (ISSN:00181994)
巻号頁・発行日
vol.52, no.8, pp.641-644, 2006-08

79歳男.前立腺肥大症と診断され,内服治療を行ったが,排尿悪化に伴い経尿道的前立腺切除術(TURP)を椎麻酔下で施行した.術後の著明な出血により術後7日目に尿道カテーテルを抜去したが39~40℃の発熱が持続し,E.cloacae,MRSAの検出をみた.9日目より腰痛を自覚しMRIでL4~5椎間腔の狭小化を認め,腰痛症又は腰椎ヘルニアを疑うが脊椎炎の所見は認めなかった.imipenem(IPM),teicoplanin(TEIC)を2週間CRPは陰性化しなかったが解熱,WBC低下と血液・尿培養の陰性化を受け,galifloxacin(GFLX)に変更したが再び発熱とWBC,CRPが上昇し,腰痛悪化で歩行困難となった.Gaシンチ施行により術後39日目に化膿性背椎炎と診断し,E.cloacaeが検出された.3週間治療内服後CRPの陰性化,腰痛は軽減し歩行可能となり術後6ヵ月目に退院したWe report a case of pyogenic spondylitis caused by Enterobacter cloacae as a rare complication of transurethral resection of the prostate (TURP). A 79-year-old man underwent TURP. Immediate after removal of urethral catheter on postoperative day (POD) 7, he developed high fever > 40 degrees C with increased acute inflammatory reaction. Urine and blood culture detected E. cloacae and methicillin-resistant Staplylococcus aureus. He complained of lumbago since POD 9. Two-week administration of imipenem and teicoplanin resulted in resolution of fever as well as laboratory data, so intravenous antibiotics were changed to oral gatifloxacin. However, his lumbago worsened and gait disturbance appeared. On POD 39, diagnosis of pyogenic spondylitis was finally obtained by Ga-scintigraphy and magnetic resonance imaging. Aspiration of the intervertebral disk (L4-5) revealed E. cloacae as the causative organism of pyogenic spondylitis. His condition improved after conservative treatment with teicoplanin, meropenem and ciplofloxacin for 9 weeks.
著者
辻本 裕一 藤田 昌弘 波多野 浩士 新井 康之 高田 剛 高田 晋吾 本多 正人 松宮 清美 藤岡 秀樹 布施 貴司 山吉 滋 安藤 正憲 西田 義記
出版者
泌尿器科紀要刊行会
雑誌
泌尿器科紀要 (ISSN:00181994)
巻号頁・発行日
vol.54, no.6, pp.407-410, 2008-06

12歳男。自転車走行中にバイクと接触し, 左側腹部痛を来たした。検査所見で白血球増加, 貧血, LDH・CK上昇を, CTで左腎上極の断裂と周囲の血腫形成を認めた。血管造影を施行し, 左腎上極へ分枝した動脈からの出血を認め, コイルによる選択的動脈塞栓術(TAE)を行った。しかし受傷後2日目に左側腹部痛増強と肉眼的血尿が出現し, 血管造影で同じ動脈からの出血を認め, 再度TAEを行った。受傷4日目も炎症所見と発熱が続き, 貧血が進行したためCTを施行した。血腫は縮小傾向であったが, 左上断裂腎からの尿漏を認め, 感染症の併発を考えて断裂腎に対するTAEを試みた。左腎上極へ分枝した動脈をスポンジセルを用いて塞栓したところ, 徐々に解熱, 炎症反応改善が得られ, 23日目のCTでは血腫縮小傾向を認めた。受傷5ヵ月目のCTでは断裂腎は萎縮し残存していたが造影効果は認めず, 血腫は完全に吸収され, 残存腎の機能は十分に温存されていた。尿漏や水腎症などもなく経過順調である。
著者
藤岡 秀樹
出版者
京都教育大学附属教育実践総合センター
雑誌
教育実践研究紀要 (ISSN:13464604)
巻号頁・発行日
no.7, pp.79-84, 2007-03
被引用文献数
1

最初に,1999年に改訂された高等学校学習指導要領に新設された教科「福祉」の創設経緯とカリキュラムの内容について紹介した。次に,教科「福祉」と「総合的な学習の時間」の福祉領域の現状や特徴を紹介し,課題について論じ,併せて教科「福祉」と「総合的な学習の時間」の福祉領域の関連性についても論じた。最後に,福祉教育の課題についても考察した。
著者
北村 雅哉 西村 憲二 三浦 秀信 小森 和彦 古賀 実 藤岡 秀樹 竹山 政美 松宮 清美 奥山 明彦
出版者
一般社団法人 日本泌尿器科学会
雑誌
日本泌尿器科学会雑誌 (ISSN:00215287)
巻号頁・発行日
vol.91, no.7-8, pp.589-594, 2000-07-20 (Released:2010-07-23)
参考文献数
18

(目的) TESE-ICSIは非閉塞性無精子症に対して広く用いられてきたが, その適応については今だ議論の残るところである. 今回われわれは精子回収の可否, ICSIの結果などについてそれを予見する術前のパラメータがないか, 後向き検討を行った.(対象と方法) 1997年7月から1999年9月まで大阪大学医学部泌尿器科およびその関連施設でTESE-ICSIを施行した非閉塞性無精子症の症例, 44例においてその臨床的パラメーターとTESE, ICSIの結果との相関を調査した.(結果) 1) 44例中32例 (72.7%) で精子の回収に成功し, うち29例でICSIを施行, 15例 (46.9%) で妊娠が成立した. 10例は Sertoli-cell-only の組織型が確認されていたが, うち3例 (30%) で不動精子が回収された. 2) 精巣容量, JSC, FSHが精子回収の可否を有意に予測するパラメーターであったが, 閉塞性の要因の関与も考えられるJSC8以上の症例を除外するとその有意差は無くなった. 染色体異常の有無は精子回収の可否を予測するパラメーターとはならなかった. 3) 妻の年齢, 精子運動性の有無, 精巣容量は受精の可否を予測するパラメーターとなった. 染色体異常は受精の可否を予測するパラメーターとはならなかった.(結論) 非閉塞性無精子症で精子の回収を予測する絶対的なパラメーターはなかった. 非閉塞性無精子症のすべての症例がTESE-ICSIの適応となり, またTESE-ICSIなしでは絶対不妊の診断は下せないものと思われた.
著者
藤岡 秀樹
出版者
京都教育大学
雑誌
京都教育大学紀要 (ISSN:21873011)
巻号頁・発行日
vol.131, pp.85-98, 2017-09-30

日本における学校心理学の研究動向について2001 年から2013 年までの展望を行った。取り上げた展望の対象は,日本学校心理学会刊行の『学校心理学研究』に掲載された「心理・社会面」の論文が中心であった。展望のトピックとしては,チーム援助,援助要請行動,信頼感,共感性,学校適応,ストレス,特別支援教育,その他の研究の8 つであった。最後に,研究動向のまとめを,援助サービスと「チーム学校」の視点から行った。
著者
北村 雅哉 西村 憲二 三浦 秀信 松宮 清美 奥山 明彦 小森 和彦 藤岡 秀樹 古賀 実 竹山 政美
出版者
泌尿器科紀要刊行会
雑誌
泌尿器科紀要 (ISSN:00181994)
巻号頁・発行日
vol.46, no.8, pp.587-590, 2000-08

精巣内精子抽出術(TESE)のうち先天性精管欠損,ヘルニア術後,パイプカット術後など明らかな閉塞性無精子症を除いた44例を対象に非閉塞性無精子症で精子の回収を予測するパラメータを検討した.JSC,精巣容量,FSHで相関がある結果であったがJSC8以上の症例を除外すると相関はなくなり,絶対的パラメータとはなり得なかった.受精に関しては妻の年齢,精子運動性の有無,精巣容量が有意なパラメータとなった.マイクロドロップレット法を用いたCryo TESE-ICSIは新鮮精子を用いたTESE-ICSIと同等の受精率が得られ,無用なパートナーへの侵襲を避けるのに有用と思われたWe reviewed 44 cases of non-obstructive azoospermia treated by testicular sperm extraction and intracytoplasmic sperm injection (ICSI) from July, 1997 to September 1999 at our institutes. Testicular sperm were retrieved from 32 patients (72.7%). ICSI was performed on 29 patients and the partners of 15 patients (46.9%) became pregnant. Out of 10 patients with histology of Sertoli-cell-only, we could retrieve sperm from 3 patients (30%). Testicular volume, Johnsen's score count (JSC), and FSH were significant parameters to predict the recovery of testicular sperm from the patients, but if only the patients with JSC less than 8, are analyzed, none of them was significant parameter. Chromosomal abnormality was not a significant parameter. The partner's age, motility of recovered sperm and testicular volume correlated with the fertilization rate. Chromosomal abnormality or the usage of cryopreserved sperm was not a significant parameter to predict fertilization.
著者
中野 悦次 吉岡 俊昭 松田 稔 園田 孝夫 矢野 久雄 伊原 義博 黒田 秀也 岸本 知己 櫻井 勗 内田 欽也 児島 康行 中村 隆幸 清原 久和 佐川 史郎 関井 謙一郎 古武 敏彦 宇佐美 道之 三木 恒治 黒田 昌男 細木 茂 前田 修 友岡 義夫 吉村 一宏 水谷 修太郎 岩尾 典夫 三好 進 井上 彦八郎 本城 充 藤岡 秀樹 本多 正人 高羽 津 岡 聖次 松宮 清美 原 恒男 三宅 修 坂口 洋 竹山 政美 板谷 宏彬 宇都宮 正登 伊東 博 新 武三 永野 俊介 市川 靖二 野島 道生 長船 匡男 客野 宮治 山口 誓司 多田 安温
出版者
泌尿器科紀要刊行会
雑誌
泌尿器科紀要 (ISSN:00181994)
巻号頁・発行日
vol.36, no.5, pp.635-642, 1990-05

膀胱乳剤にフェルビナクのエチルエステルを封入させたLM-001静注剤を尿路結石による疼痛と膀胱・前立腺手術後の膀胱切迫感に対する有効性ならびに安全性について検討した.1)尿路結石による疼痛に対しては53例中49例に効果がみられた.有効例49例中41例までが本剤投与15分以内に効果が発現した.また26例において効果が24時間以上持続した.2)膀胱・前立腺手術後の膀胱切迫感に対しても29例中25例に効果がみられた.有効例25例中16例までが15分以内に効果発現した.また13例において効果が24時間以上持続した.3)副作用として血管痛,熱感,視力軽度低下,血圧の一時低下がみられたが,いずれもきわめて軽度で何ら処置することもなく短期間に消失した.また,3例に白血球増多,1例にA1-pの上昇がみられたが,その程度は軽度であり,すぐに正常化した.4)LM-001は尿路結石による疼痛の緩和と膀胱・前立腺手術後の膀胱切迫感に対し,速効性で高い有効率を示し,かつ作用時間が長いこと,また副作用がきわめて少ないことから優れた薬剤と評価し得たClinical effect of LM-001, a prostaglandin synthetic inhibitor developed from a drug delivery system, was evaluated in 54 patients with pain from urinary tract stones (stone pain) and 32 with vesical urgency after an operation on bladder or prostate. LM-001, felbinac ethyl incorporated in lipid microsphere, wes intravenously administered at the onset of stone pain or vesical urgency. Of 54 with stones and 32 with urgency, 53 and 29 were eligible for response, respectively. The symptoms improved or disappeared in some cases just after the administration and in the majority of patients within 15 minutes, in 49 of 53 patients with stone pain. Further, the effectiveness lasted over 24 hours in 26 of the 49 responding to this agent. On one hand, improvement or disappearance of vesical urgency was recognized in 25 of 29 patients, and the effectiveness was observed shortly after injection in 16 and lasted over 24 hours in 13 cases. Toxicities of this drug were investigated in 54 patients with stone pain and 32 with urinary urgency. Side effects consisted of pain at the injection site in 4, a slight fall of blood pressure in 1, slight visual disturbance in 1, body heat sensation in 1, leukocytosis in 3 and elevation of alkaline phosphatase in 1. These symptoms were transient and disappeared without use of any agent. LM-001 is concluded to be a useful drug for controlling stone pain and vesical urgency since an immediate effect, long durability and high response rates were obtained without severe side