著者
久田 友治 山城 清人 梅谷 一公 渡辺 幸 田村 剛三
出版者
一般社団法人 日本プライマリ・ケア連合学会
雑誌
日本プライマリ・ケア連合学会誌 (ISSN:21852928)
巻号頁・発行日
vol.41, no.4, pp.143-147, 2018-12-20 (Released:2018-12-27)
参考文献数
16

目的:ハブ咬傷患者による応急処置(緊縛,切開,吸引)の妥当性,及び患者への乾燥はぶウマ抗毒素(抗毒素)の適応は明確でない.症状(疼痛,腫脹,出血)と抗毒素投与の関連,及びハブ咬傷患者による応急処置と予後の関連を明らかにする.方法:ハブ咬傷患者調査票が提出され予後が判明した65名を対象者として後ろ向きコホート研究を行った.リハビリの有無に係わらず治癒した患者を予後良好,機能障害を来した患者を予後不良としてFisherの正確検定を行った.結果:抗毒素投与は疼痛と有意な関連を認めたが,腫脹,出血との有意な関連は認めなかった.応急処置と予後,および局所症状と予後には関連が認められなかった.結論:医師が抗毒素投与を決める際に,疼痛を最も重視する事が示唆された.患者による応急処置の必要性は少ないと考えられたが,抗毒素投与の適応,及びハブ咬傷患者による応急処置の妥当性について,更なる研究が期待される.