著者
矢島 和美 村田 里美 山岸 弘 杉山 典久 米山 雄二
出版者
一般社団法人 日本家政学会
雑誌
一般社団法人日本家政学会研究発表要旨集 59回大会(2007年)
巻号頁・発行日
pp.124, 2007 (Released:2008-02-26)

【目的】 台所の排水口などに発生するヌメリは手で触りたくない汚れであり、次亜塩素酸ナトリウムを主成分とする塩素系洗浄剤による掃除が一般に行われている。しかし、塩素系洗浄剤は特有の臭気を有するため、短時間で掃除を済ませることが望まれている。そこで、ヌメリを発生する原因菌とヌメリの構成成分を把握し、ヌメリの効率的な洗浄について検討した。 【方法】 一般の5家庭の台所排水口からヌメリを採取し、TSA培地で培養し菌種を同定した。アルギン酸ナトリウム水溶液を塩化カルシウム水溶液に滴下して調整したアルギン酸カルシウムゲルをヌメリモデルとし、次亜塩素酸ナトリウムと添加剤をこのヌメリモデルに作用させたときの分解状態を観察し、目視判定により、洗浄試験を実施した。 【結果】 採取したヌメリの菌種を同定した結果、、Pseudomonas属が最も多く存在していることが分かった。この、Pseudomonas属の菌と食品を接触させたところヌメリを発生したことから、ヌメリの原因菌は、Pseudomonas属であると推定した。また、Pseudomonas属は細胞外多糖としてアルギン酸を産出すると報告されている1)ことから、ナフトレゾルシン呈色試験法によるヌメリ中のアルギン酸の同定を試みた結果、ヌメリにアルギン酸が存在することが確認できた。アルギン酸を成分とするヌメリモデルを用いた洗浄試験の結果、次亜塩素酸ナトリウムにアルカリ金属炭酸塩を添加することにより、アルギン酸の分解を促進することが分かり、実際にヌメリに対する洗浄試験においても素早い洗浄効果が確認できた。 文献1)森川正章,科学と生物,vol.41,No.1,(2003)
著者
渡部 美香 山岸 弘 内藤 厚志 安江 良司
出版者
一般社団法人 日本家政学会
雑誌
一般社団法人日本家政学会研究発表要旨集 68回大会(2016)
巻号頁・発行日
pp.250, 2016 (Released:2016-08-04)

目的 生活者が浴室内でカビを見つけたことがある箇所に,「壁」,「ドアや窓のゴムパッキン」と同様に,「洗面器やシャンプー等の小物」が挙げられており,生活者は浴室内小物のカビが気になっていることが判ってきた.本研究では,浴室内小物のカビ汚染及び掃除実態を明らかにし,簡便に効率よく行えるカビ対策法提案を目的とする.方法 掃除実態は,月に1回以上自分で家庭内の掃除をしている首都圏の30~59歳既婚女性450名を対象にWEB調査を実施した.カビ汚染実態は,首都圏の11家庭を対象に浴室内小物のカビ生菌数を測定した.結果 生活者の68%は1年間に浴室内小物にカビを見つけたことがあるが,その37%はカビを見つけても掃除をせず放置していることが判った.一方,浴室内小物にカビを見つけたことのある生活者の63%はカビ取り掃除をしているが,その49%は塩素系カビ取り剤を使用せず浴室用洗剤等で掃除をしていた.以上の結果から,浴室内小物はカビ汚染されている可能性が高いと仮説を立て,一般家庭の浴室内小物のカビ汚染実態を調査した.その結果,カビは11家庭中4家庭の洗面器から検出され,最大で数万CFU/cm2,イスにおいては7家庭から検出され,最大で数百万CFU/cm2存在しており,多くの家庭の浴室内小物がカビ汚染されていた.本報告では,さらに浴室内小物も含め浴室内隅々まで簡便に効率よくカビ除菌ができるカビ対策の提案について報告する.
著者
山岸 弘
出版者
一般社団法人 室内環境学会
雑誌
室内環境 (ISSN:18820395)
巻号頁・発行日
vol.22, no.1, pp.73-79, 2019 (Released:2019-04-01)
参考文献数
19

私たちが生活する住宅内には様々な微生物が存在することが知られている。近年の衛生意識の向上に伴い, 住宅内の水周りである浴室やトイレにおいて, 生活者が気にする汚れは石鹸カス, 皮脂, 水垢, 尿石などだけではなく, カビやヌメリ, 雑菌, さらにはニオイにまで及んでいる。浴室の代表的な微生物汚染は床や壁に生える黒いカビや排水口に発生するピンク色のヌメリなど, 視覚的に認識されるものが多く, 生活者の不快感につながっている。本報では一般家庭の浴室における主要汚染カビやピンクヌメリ原因菌を明らかにし, カビ汚染の特徴や汚染のメカニズム, 温度湿度や汚れ成分が微生物の生育に及ぼす影響について解説すると共に, 日常の微生物対策, さらにはカビの汚染源に対処できる簡便且つ効果的なカビ対策を紹介する。一方, トイレには飛び散った尿に起因する微生物汚染やニオイ, ホコリといった様々な汚れが存在する。近年, 尿の飛び散りに対しては注目度が高く, 家庭での男性の小用スタイルの変化にも表れている。本報では尿の飛び散りや微生物汚染の実態, 微生物とニオイの関係について解説し, 併せて効果的な微生物対策について紹介する。