著者
鈴木 彩子 長谷川 貴通 泉川 洋亮 岡野 知道 佐藤 安信 米山 雄二
出版者
The Japan Society of Home Economics
雑誌
一般社団法人日本家政学会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
pp.104, 2005 (Released:2005-12-08)

〔目的〕近年、住宅設備の進化に伴い、トイレは快適でキレイな空間と進化しつつあるが、生活者の多数は、トイレ空間に対して潜在的に不衛生感を抱いていると考えられる。そこで、本研究ではその潜在的な不衛生意識を探るため、尿ハネに着目、便器外側への飛散実態とそれに伴う微生物・臭気汚染の相関を明らかにした。〔方法〕尿ハネの飛散実態は、感水紙を用いて液滴計測により実施した(n=7平均)。また、菌分布については、実家庭にテストパネルを設置し、ふきふきチェック_II_(栄研器材)で拭き取り、TSA(トリプトソイアガー)およびマンニット食塩寒天培地にて培養、菌種別に定量調査した。尿の乾燥状態と臭気成分の関係については、6段階臭気強度表示法に従い官能評価を行った(n=3平均)。〔結果〕第56回大会にて、男性のトイレスタイルと便器のふち裏への尿ハネについて報告したが、さらに尿ハネは便器外側にも派生しており、特に、便器の手前部分の床で非常に多く、便器から20cm・幅50cmの範囲で、1回の小用あたり直径2mm以下の尿滴で平均約230個計測された。不衛生要因の実態については、菌汚染は実家庭のトイレでStaphylococcusやMicrococcus属の球菌やグラム陽性菌が検出され、尿の臭気は液状の時よりも乾燥状態に近づくほどその強度が、「明らかに感じる臭気レベル(3点)」から「耐えられない程度の強い臭気レベル(5点)」へと変化することを官能評価で確認した。さらに、尿ハネによって引き起こされる菌の増殖や臭気成分の変化との相関についても検証したので併せて報告する。
著者
矢島 和美 村田 里美 山岸 弘 杉山 典久 米山 雄二
出版者
一般社団法人 日本家政学会
雑誌
一般社団法人日本家政学会研究発表要旨集 59回大会(2007年)
巻号頁・発行日
pp.124, 2007 (Released:2008-02-26)

【目的】 台所の排水口などに発生するヌメリは手で触りたくない汚れであり、次亜塩素酸ナトリウムを主成分とする塩素系洗浄剤による掃除が一般に行われている。しかし、塩素系洗浄剤は特有の臭気を有するため、短時間で掃除を済ませることが望まれている。そこで、ヌメリを発生する原因菌とヌメリの構成成分を把握し、ヌメリの効率的な洗浄について検討した。 【方法】 一般の5家庭の台所排水口からヌメリを採取し、TSA培地で培養し菌種を同定した。アルギン酸ナトリウム水溶液を塩化カルシウム水溶液に滴下して調整したアルギン酸カルシウムゲルをヌメリモデルとし、次亜塩素酸ナトリウムと添加剤をこのヌメリモデルに作用させたときの分解状態を観察し、目視判定により、洗浄試験を実施した。 【結果】 採取したヌメリの菌種を同定した結果、、Pseudomonas属が最も多く存在していることが分かった。この、Pseudomonas属の菌と食品を接触させたところヌメリを発生したことから、ヌメリの原因菌は、Pseudomonas属であると推定した。また、Pseudomonas属は細胞外多糖としてアルギン酸を産出すると報告されている1)ことから、ナフトレゾルシン呈色試験法によるヌメリ中のアルギン酸の同定を試みた結果、ヌメリにアルギン酸が存在することが確認できた。アルギン酸を成分とするヌメリモデルを用いた洗浄試験の結果、次亜塩素酸ナトリウムにアルカリ金属炭酸塩を添加することにより、アルギン酸の分解を促進することが分かり、実際にヌメリに対する洗浄試験においても素早い洗浄効果が確認できた。 文献1)森川正章,科学と生物,vol.41,No.1,(2003)