著者
山岸 治男
出版者
大分大学
雑誌
生涯学習教育研究センター紀要
巻号頁・発行日
vol.5, pp.17-24, 2005-03

21世紀社会の目標の1つとして、しばしば「福祉社会」の実現が主張される。それには、社会的合意過程において民主主義が成熟しなければならないが多数の市民が責任ある態度で社会参画し、相互合意による相互援助活動を自覚的に継続するには、市民一人ひとりが生涯各期において年齢相応の学習を重ね、社会を構成する一市民としての自覚を高める必要がある。本稿はこうした学習を促す社会システムとしての教育のありかたを検討するものである。
著者
山岸 治男
出版者
大分大学教育福祉科学部
雑誌
大分大学教育福祉科学部研究紀要 (ISSN:13450875)
巻号頁・発行日
vol.30, no.2, pp.113-122, 2008-10

財政的に疲弊した米沢藩を上杉鷹山が立て直した史実については、今日広く知られるところとなった。特に経済人や行政関係のトップに評価され、今日の日本の行財政改革において、「鷹山に学べ」の声もあがっている。こうした評価の陰で、一般には十分認知されないが、鷹山の改革内容の一つに「福祉政策」の側面がある。この側面には、今ふうに換言すれば、人権尊重、弱者救済、住民参加等を基調とする「福祉政策」的発想がある。この発想こそが財政改革を成功させた要因である。The reform of the Yonezawa clan by Uesugi Yozan is widely known in Japan. He is especially highly-appraised for his approach for the reform by the economic world today. Then, if we take a closer look at it, we can notice that his reform includes an aspect of welfare policy as well. So we can set up the following keywords in the reform by Uesugi : Protection of human rights, Standing by the weak, and Citizen's participation in policy making.
著者
山岸 治男 有田 憲仁
出版者
大分大学
雑誌
生涯学習教育研究センター紀要
巻号頁・発行日
vol.4, pp.63-70, 2004-03

かつて、地域社会の主な担い手は、企画運営・参加出席の両方とも主として壮年期の男性であった。産業構造の近代化・現代化の進行に連れ、様相が変わった。今日では、地域社会を実質的に支えるのは男女高齢者と女性である。だが、地域社会には壮年期男性の欠落化による新たな問題が起きはじめている。例えば路上犯罪の多発、男性不在の子育ち・子育て、家庭も仕事も地域役割もすべて女性にという男女協同参画社会に逆行する事象などがそれである。事態を転換するには、あらためて壮年期男性の地域参加が要請される。そのための社会制度や社会意識の改革が求められる。では、それには社会教育にどんなプログラムを準備したらよいか、本研究は公民館の事業を例にこの課題にアプローチするものである。