- 著者
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後藤 茂子
林 浩昭
山岸 順子
米山 忠克
茅野 充男
- 出版者
- 一般社団法人日本土壌肥料学会
- 雑誌
- 日本土壌肥料學雜誌 (ISSN:00290610)
- 巻号頁・発行日
- vol.73, no.4, pp.391-396, 2002-08-05
- 被引用文献数
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11
2種類の下水汚泥コンポストを20余年連用した試験圃場の深さ10cmまでの土壌中の亜鉛,銅,カドミウム,鉛含有量の経年変化と水平方向(試験区外)への移行について調べ,下水汚泥由来重金属の土壌への蓄積について棟討した.(1)下水汚泥コンポスト中の含有量が土壌中のそれよりも高かったモミガラコンポスト区,オガクズコンポスト区両区の亜鉛およびカドミウムと,モミガラコンポスト区の鉛は,施用によって土壌中に蓄積が認められたが,試験開始後10年が経過したころからは蓄積の鈍化あるいは停滞の傾向がみられた.一方,含有量が土壌より低かった両コンポスト区の銅およびオガクズコンポスト区の鉛は,土壌中に蓄積が認められなかった.(2)土壌に蓄積した重金属の水平方向の移行もまた,蓄積と同様に下水汚泥中含有量の高い亜鉛およびカドミウムで明らかに認められた.これは耕うんに伴う土の移動によると推定した.(3)下水汚泥の施用に伴ってモミガラコンポスト区に添加された亜鉛の分配を,隣接する化学肥料区との間で検討したところ,累積添加亜鉛量の約53.4%が区内の深さ10cmまでの土壌に,約6.5%が隣接する化学肥料区の深さ10cmまでの土壌に存在した.また,累積添加亜鉛量のほとんどが20cmまでの表層土中に存在し,下方への溶脱はそれほど多くはないと考えられた.